4話 2戦目

2戦目は、トニーという重戦士となった。

過去の放送を見て対策をしようと思ったが、父から臨機応変に対策できるように初見で対応しなさいと言われてしまったので、見ていない。

重戦士の特徴として守りが固く、動きが遅いことだけは教えてもらえた。

この情報をもとに戦略を考えなきゃね。



・・・・・ 防衛戦当日 ・・・・・



「さぁ始まりました。子供防衛戦。今回も実況は私、フルイチ。解説はトンボさんが担当します。

ジン君の2回目の防衛が始まります。対するは、トニー君、現在3勝をあげています。また、防衛線では珍しい重戦士です。その突進する姿は当に重戦車との愛称で呼ばれるにふさわしい活躍をしています。

今回は、どういった勝負になるのでしょう?トンボさん。」


「そうですねぇ。フルイチさん。トニー君は今まで全ての罠を踏み抜いて、いや踏み壊してきました。ジン君がトニー君の勢いをどのように止めるのかが焦点になるでしょうね。

ジン君の工夫に期待しましょう。」


「現場ではトニー君が、屋敷の前に立ちました。そのままずんずんと屋敷へ進んでいきます。

前3戦もそうでしたが、トニー君は無口ですねぇ。」


「そうですねぇ。勝利インタビューも頷いたり、手を挙げて観客に応えるだけでしたからシャイなんでしょうね。

インタビュー時は、兜を脱いでいましたが、兜の感じとは異なり幼い感じの可愛らしい顔でしたねぇ。」


「情報によりますとトニー君は、可愛い顔を気にしており、厳つい顔に憧れてあのような厳つい兜を選択しているそうですよ。トンボさん。」


「面白い情報ですね。どこからの情報ですか、フルイチさん。」


「私がお母様から聞いた情報なので間違いありません。」


実況席から面白い情報が聞こえてくる。

トニー君は、兜を被っているので表情が分からないが、なんとなく嫌がってそうな雰囲気を感じる。

裏情報は情報としては面白いだろうけど、トニー君的には嫌だろうな。僕も防衛線の裏情報としてあんなこと言われたら嫌だし・・・

実況の人達って親の取材とかもしてるんだな。僕も両親に要らないことを言わないように言っておこうっと。


そんなことを思いながら、僕は屋敷の前にいるトニー君に対してにこやかに手を振る。

トニー君も手を振り返してくれた。

意外と面白い奴かもしれないな。


そんなことを考えているとトニー君が屋敷に入ってきた。

襖を開けると前回と同じく絡繰り武者が出迎える。

落とし穴にはまることは無いだろうけど、まぁ小手調べだね。


トニー君は、絡繰り武者を見ても関係ないとばかりにずんずん進む。

途中で落とし穴が作動したが、盾で落ちないように踏ん張ってしまった。

これじゃ落とし穴は意味ないかなぁ。

矢を飛ばしたけれど簡単に盾で防がれた。

パンチンググローブの背面攻撃は当たったけど鎧だと効果がない。

重装備に対抗できる罠って何だろうな。

どうしようかなぁと様子をみている間に一部屋目を攻略されてしまった。

これはやばいかな。


「トニー君、あっさりと1部屋目をクリア~。2部屋目に入っていきます。

トニー君は全てを乗り越えて進んでいきますねぇ。トンボさん。」


「前戦もそうでしたが、全ての罠を踏み破っていく姿はまさに重戦車に相応しいですね。

前戦は1ポイントも落とすことなく完全制覇しましたが、今回も完全制覇になるのでしょうかね。」


実況でもトニー君の快進撃を讃えている。


2部屋目に入った。

この部屋には、丸太が突っ込んでくる罠を仕掛けてある。

いくら重装備とは言っても丸太ならポイントを稼げるはず・・・

稼げるよね?


トニー君が部屋の中央に進んだ時に丸太の罠が発動した。

前方より振り子の要領で襲ってくる丸太に対してトニー君は腰を落として構えを取った。


ガシーン


トニー君に丸太がぶつかり鈍い音が辺りに響き渡る。

結果は?


トニー君は盾を構えたままピクリともしなかった。

すざまじい体幹だなぁ。


1分経過


トニー君はまだ動かない。


2分経過


まだ、動かない。

実況席も観客もザワザワしてきた。


3分経過


水入りということで救護隊がトニー君の元に向った。


丸太を避けてトニー君の兜を脱がすと、トニー君は目を回していたらしい。

勝負は僕の勝ちとなり、トニー君はそうっと病院へ搬送された。


後から聞いたところによるとトニー君が丸太を受け止めた時の衝撃音が兜の中にこだましてしまい、目を回してしまったらしい。


その後、僕の丸太の罠は、危険すぎるということで使用禁止となってしまった。

確かにトニー君だったから受け止められたけど、普通の人だったら骨折くらいはしているかもなぁ。


2戦目にして僕は、世間から最凶城主の二つ名で呼ばれるようになってしまった。

トホホ・・・

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