この夢を、誰かからの贈り物だと思えたら

@okome_1231

第1話

私は眠った。

目を閉じると広がるのは、見覚えのない世界だ。世界が、区切れているのだ。


見えないはずの境界が、確かにそこにあると、私の体が先に知っていた。

それは、近くで見てもぼやけており、息が白くなるほどの冷たさと、どことなく気だるくなるような重さを感じさせた。


反対側のそれに近づいた瞬間、熱が伝わってきた。その後に、雲のような軽さや、心地よさが広がった。


「なぜ区切れているのだろう?これは本当に夢なのか?なぜ真ん中や上と下は普通なのか?ここから出られないのか?⋯」そうした疑問が、次々と私の頭の中を支配していく。


苦しい。その思いが強くなる。

その時、一気に空気の冷たさや体の気だるさを全身で感じた。


——ああ、わかった。ここは、私の心の中だ。

つまり、己の精神が、五感で感じられる世界なのだ。


きっと、逃げることも、出ることもできないだろう。


でも、私にできることはある。

この世界そのものを、受け入れることだ。


受け入れるということは、自分を一個人として捉え、自分自身を、心から認めることだと、私は思う。それこそ、人それぞれなのだ。


ここで区切られたどちらかを選ぶことは、きっとこの世界では、タブーなのだろう。


しかし、それもまた、私なりに過ぎない。


そこから私は、少しずつ、自分という人間を受け入れるために、自分への理解を深めていった。


徐々にわかってきた。

私が、「どんな人間で、何が好きなのか、場合によっては、どんな感情を抱くのか…」さまざまなことがわかると、もちろん嫌な部分もあった。


しかし、対策を考えることや「そんな人もいる」という軽い受け止めが大事だと感じた。


自分について考えることが、いつの間にか好きになった。そして考え続けていると、遠くに一点の光が見えた。


近づくとそこには、扉があった。

好奇心で開けてしまった。


すると、次の瞬間!

光に包まれた。

目を開けると広がるのは、見覚えのある世界だ。


「今日からは、違う視点で、新しい人生を歩こう」

そう、心に誓った。


今まで、してこなかったことも、自分のやり方でしてみようと思えた。


そこからは、以前よりも、理想に近い生き方ができた。それでも、悩んだり、気持ちが沈んだりしたときは、あの世界に、また行きたくなる。

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