祝うのは大変
星之瞳
第1話
今日は大みそか、私はこの時期が大嫌いだった。明日は新年を祝うおめでたい日であるはずなのに、とにかく大変だったのだ。
嫁ぎ先は元農家。義両親と同居。長男家で元家。だから年末年始は超忙しい。
12月に入るとまず掃除が始まる。無駄に広い家。屋根に上って2階の窓ふきや風呂磨きなどをしているだけですぐ時間が過ぎてしまうし、とても疲れる。
12月半ばすぎると、必要な物の買い出しが始まる。親戚も多く、餅つきまでするので買い物が半端ない。
一般のおせちを作るわけではないが、煮豆、寒天、なます、などそれなりに作る料理は多い。おまけに子供が小さい時はその分も別に作らなくてはならなかった。
餅つきが一番大変、数日前から用具を洗って乾かす。前日にはもち米を水に浸けて一晩おく。当日朝6時に起きてざるにもち米を上げ水を切る。2時間以上はかかるので、早起きしないといけない。それに親戚も集まるから餅つきが終わってからの食事の支度もある。お寿司ぐらいは出前するが、おかずは自分で作らないといけない。
親戚が集まり餅つきが始まると、うまく回っているか見て回らないといけない。終了近くになると食事の準備。会食の後は各家庭がもちを持ち帰るが、自分の家のもちはビニール袋に入れて冷凍庫へ。
その後使った用具を洗って干す。冷えて固まった餅は落すのが大変。風呂場のシャワーでお湯を掛けながらの作業。へたするとずぶぬれになる。部屋の掃除、夕飯の支度。とにかく一日中休む暇もない。
29日は『
結果疲れた体を引きづって大晦日へと突入することになる。
大晦日、夕飯の支度が待っている。年越しそばに、チラシ寿司。煮物を作り、刺身を盛りつける。タイの尾頭付きの煮つけも縁起物として作らないといけない。
食事が終わると片付け、そして年越しのお風呂に入って洗濯。紅白を聞きながら私は動きっぱなし。
0時の除夜の鐘が鳴る事やっと終わる。
年始は朝から雑煮を作り、夜は普通に夕飯を炊く。2日には親戚が年始で来て接待。とにかく年末年始は新年を祝う気にもなれないほど疲れる時期だった。
今ではそうゆうことは無い。熟年離婚して、娘と二人暮らしだから。
おでんを炊いて、年越しそばと、明日は雑煮を食べるつもりだが、あの頃の忙しさは無くゆっくりと穏やかな年の瀬を迎えている。
祝うのは大変 星之瞳 @tan1kuchan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます