死人棺桶祝い唄

永嶋良一

第1話 祭り

 焚火がオレンジの炎を噴き上げている。夜の闇がそこだけ明るい。焚火の前には大きな穴が掘られていた。


 村の男たちが空の棺桶を担いできた。焚火を取り巻いた村人たちから大きな歓声が上がる。男たちが棺桶を穴の前に置いた。


 男たちがいずこかに去ると、村人の輪の中から女たちが何人も出てきた。みんな、胸と腰に布を巻いただけの半裸だ。女たちが焚火と棺桶の周りを輪になって踊り出した。女たちの口から唄が出た。


♪ ナニヤ~アヤラ ナニヤァド

 ひつぎの底は 地獄道

 蓋をしたなら 土ン中

 ヤァヤラめでたい 祝い唄 ♪


 私の横に座っていた村長が言った。


 「棺桶祭りの祝い唄です」


 唄に合わせて、女たちが妖しく手足を動かした。オレンジの焚火を背にして、女たちの姿が黒いシルエットになっている。


 オレンジ色をバックに女たちの黒いシルエットが・・うごめく・・


 手が・・足が・・胸が・・腰が・・妖しく揺れる・・


 唄が続く・・


♪ ナニヤ~アヤラ ナニヤァド

 棺の底は 地獄道

 蓋をしたなら 土ン中

 ヤァヤラめでたい 祝い唄 ♪


 まるで幽玄の世界だ・・


 私は息を飲んで女たちの踊りを見つめた。

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