ホラーとミステリーの境界線とは、実に曖昧なものなのだな、と改めて感じさせられます。
主人公の高島は友人である城坂和行の家に行く。城坂の両親や姉に迎えられて「誕生日」のお祝いをすることになるが、そこでなぜか怪現象が。
触ってもいないのに電気のスイッチが点いたり消えたりするなど、謎の現象。
この感じ。果たしてどう解釈したものか。
電気系統は時折誤作動も起こるものだから、異常が起こっても霊現象と即座に判断できるものではない。
でも、「周りの人たち」が恐怖していたら、やっぱりそういうものなのかというムードも出来そうな感じがする。
この状況で高島はどう事態を読み解くか。
伏線描写が丁寧で、サクサクと回収されていく感じが小気味良いです。
ホラーなのか、ミステリーなのか。それらがイメージとして揺れていく感じ。この作品世界はどういうものかと雰囲気が更新されていく感じが面白いです。
いわゆる「観察眼」が問われるところがなんと言っても魅力。明かされる「事実」を見たことで、自分がうっかり「何か」を見落としていたことを思い知らされるかもしれません。
そんな仕掛けが楽しい作品でした。