私の「制服」が好きな、私の彼女

天咲かのん

第1話

「あなたの"制服"が推しです‼︎ 結愛さん…付き合って下さいッ‼︎」


「えっと………はい?」


誰もいない春の放課後の教室。


高校二年生の私、紗倉結愛(さくらゆあ)はこの告白を忘れないだろう。


なにせ私だけでなく"私の着ている制服"も告白されたのだから。


「あの〜…西園寺さん?どういうこと?」


私は恐る恐る尋ねてみた。


相手は同じクラスメイトでこの桜雲(おううん)学園の理事長の孫にして学園一の美少女、西園寺陽菜(さいおんじひな)だった。


「言葉通りの意味ですッ!そのライトグレーのダブルブレスレットブレザーと白のブラウス、赤いネクタイに紺のジャンパースカート、白のソックスなんて……まさに私の理想の制服です‼︎なので付き合って下さい!」


真剣な顔でオタクの早口が如く制服を語る学園一の美少女。


西園寺さんってこんなキャラだっけ?もっとお淑やかなイメージだったけど。


「えっと…呪文?それとおまけ程度の私への告白」


「呪文?結愛さんの今の装いですが?あと結愛さんも好きですよ?」


「ありがとう西園寺さん…ってそんなに好きなら自分が着ればいいんじゃない?」


私が着ている制服は指定された服から自由に組み替えているオリジナル制服だ。 


この学園、理事長がファッションデザイナーと言うこともあり、女子制服だけでもブレザーからセーラーに至るまで数十種類を超えていて、トップスとボトムスを生徒個人が組み替えれるシステムになっている。


おかげで教室内はちょっとした制服ファッションショーみたいになってたりする。


事実、私もこの制度を見て桜雲に入学しようと決意した節もある。


「その制服は結愛さんが着てるから最高なんです!私にには似合わないので………」


「…そんなモデル見たいなスタイルでよく言うよ…」


そもそも西園寺さんは学園一の美少女だ。

顔立ちも良く、細く引き締まったスタイルは同性すら魅了している。


私が着るより似合いそうなものだけど。


そしてこの状況に無い知恵を振り絞って考えた。


「あ〜…これってもしかしてドッキリだったり?」


もはや結論はこれしか出なかった。

なにせ私と西園寺さんの接点なんて同じクラスメイトというだけしかない。


西園寺さんはクラスのトップカースト、対する私は中の中といったところ。


去年までは違うクラスだったし、会話も今年に入ってからしてるぐらいだ。


ましてや告られるなんて想像も出来ないし、そもそも女の子同士だし。


「ドッキリッ⁈…ううっ、初めての告白だったのに…」


ビックリした表情であからさまに肩を落とす西園寺さん。


流石に私とてそこまでは鈍くない。


「えっ?ウソッ?……もしかしてマジのやつ?」


落ち込む西園寺さんはこくんと頷く。


どうやら西園寺さんは本気らしい。


「あ〜…なんかごめん。でもなんで告白?普通に友達じゃダメなの?」


「その…結愛さんには入学式の時ぶつかった時から一目惚れしてまして…」


「入学式?ぶつかった?なにかあったっけ?」


私は約一年前の記憶を遡って考える。


「そういえば、体育館に行くとき渡り廊下の角でぶつかったような…?」


あの時はちょっと遅刻しそうで急いでたのを思い出す。


体育館に行く途中の曲がり角で西園寺さんにぶつかったのだ。


相手がめちゃくちゃ可愛い美少女だったから本当にビックリした記憶がある。


「あれってほんと一瞬だったよね?…でも一目惚れって」


「はい…ぶつかった瞬間、"この子"だっ‼︎と思って…」


「判断が早いっ!」


…なんか展開があまりにも早すぎる。というか西園寺さん、チョロくない?


「でもあまりにも結愛さんとその制服が理想的すぎて…毎日考えているうちに好きになっちゃって…」


顔を赤くし、うつむきながら告白する西園寺さん。


何コレ。恋する乙女じゃん。でも毎日考えてたって西園寺さん、もしかしてメンヘラ…?


この甘酸っぱい空気に耐えられなかったのか西園寺さんがきりだした。


「…とにかくっ‼︎今じゃなくてもいいのでお返事を下さい!……出来れば2日以内にっ‼︎」


「いや、返答期間短っ⁉︎…それにいきなり答えろと言われても…」


「それじゃあまた明日!…返答待ってるね!」


私の話を聞かず、ぱたぱたと教室を出ていく西園寺さん。

残されたのは私1人のみ。


「…学園一の美少女が私と私の制服が好きで一年前から片想いしてて、同じクラスメイトになった瞬間告られた…と。いやコレどういう状況だよ」


なんだか新学期にとんでもないことになったと感じ、頭を抱えたのだった。








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私の「制服」が好きな、私の彼女 天咲かのん @Kanon_36

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