「もう逢う事のない君に」

せめてもう一度だけ

君に会う事ができたとして

もしもそれが運命なら

また恋が始まるだろうし

そうでなければこれまでと同じ様に

別々の道を歩むだけの事


昨日君の夢を見た

遠い記憶の片隅に微笑む人がいる

それは舞い散る桜の花びらの中で

何も言えずに終わってしまった

あの最後の瞬間

どうしてあの時

「ありがとう」と

言っておかなかったんだろう

「また明日」と言って別れてきたけど

また会える明日なんてないと

分かっていたのに


こうして私は

君の事を思い出した


君は元気ですか

お変わりありませんか

今は何を生き甲斐に生きて

誰を愛していますか

また君に出逢えたなら

私は君に何を問うのだろう

会えなかった時間の長さが

壁となって

二人の間を切り裂くのなら

あの頃の君を思い出すには

私はあまりにも年を取りすぎた


せめてもう一度だけ

君に会う事ができたとして

もしもそれが運命だとしても

それはもう

あの時の君ではないから

出逢えない方がいい

思い出は

思い出にしておく方がいい


今年もまた桜の木が

寂しく花びらを振り落としていく

春なのに

もう春だから

荒れ狂う桜の花びらに紛れて

君に会いに行こう

もう逢う事のない君の

欠片を探して

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