プロローグ

…2222年—————ここは、ねこによって征服された世界。

人類が、ねこや他の動物達の下僕と成り果てた世界。


ゴミと異臭に満ちた川を見たねこは言った。


「ゴミ共、ゴミ掃除の時間にゃ♪」


だが、人類は激しく抵抗した。

「はっ、誰がねこなんぞに従うか!」

しかし、ねこの放った次の一言で、人類は目の色を変えた。


「ゴミ一個に付き…これをくれてやるぅ、ごみぃ」


にくきゅうで、何か薄い紙のようなものを差し出した。

人類は、嬉々としてゴミを奪い合った。


「そいつぁ俺んだぁ!!」

「黙れ、俺が先に見つけたんだ!!」


どぶ川が清流になるのに、一日も掛からなかったという。

恐るべき人類の団結力であった。


…後日、その紙切れが無価値になるとも知らず。


こうして、人類は意のままに操られた。


「コレあっちぃにゃ!」

「蹄が割れるパッカ!」


と、ぼやかれ


「任せろ!」


と、硬く熱い道路は破壊し尽くされた。

ビルや家すらも


「草が…生えないのだが?」


と、高飛車なねこ娘に無茶を言われるも


「解りました!!」


と、何故か嬉々として撤去し、大草原とお花畑に生まれ変わった。

ヤギが

んめぇ~

と、鳴いた。

蜜蜂がブンブンブン♪と、飛んだ。


…こうして、住む場所さえも失った人類は

「家が無いなら~山に穴を掘ればイイんだよっ♪」

と、ちょうちょを追い掛けながら言われ


「解った!」


と、何故か満面の笑みで返し

「トンネルハウス」を開発。

果樹園や段々畑をこしらえつつ、動物達の面倒もみるという過酷な日々に

何故か癒されていた。


…ねこのきまぐれは、まだまだ続く


「…蜜蜂さんが、嫌がるから…」と、農薬を前足でマントルにそっと落とし

「これは危険でござる、シャー!」と、軍事兵器に津波を浴びせ、砂を掛けた。

「くっくっく…食えん」と、紙幣を爪でビリビリにし「あったか~♪」と焚火にしてしまった。


…人類はねこに慰められ、泣きながら歌った。


…ねこの我儘は、留まる事を知らない。


「濡れずに~高いとこから~地球をお散歩した~いにゃ♪」

コロンとねだられ

「いいぜ!」

と、見晴らし対策、雨対策を万全にした

「世界お散歩道」を立案

しかし

「子供達がお腹空かせたらどうするの?バカなの?死ぬの?」

と、冷たい目で見られ

「すみませんでしたぁ!」

と、食事対策をも万全にさせられた。


レーシングカーを気に入った虎とライオンは安心安全な「世界にゃーキット」を造ったが

どこか中二くさいねこに


「ふっ…これはゴミだな。海を走れもしないで何が世界サーキットだ、笑わせる」


ブチ切れた虎とライオンは人類に咆哮した。


『頼むぅ、手伝ってくれぇ!!』


…どこか困惑しつつも


「諦めたら、そこで世界終了だぜ!」


と、手を取り合い、海中をも通れる道を開発した。


…だが、想像してみて欲しい。

身一つ、車一台でも気軽に地球のどこにでも行け

渋滞も危険も無く、宿にも食事にも困らないという世界を…


この奇跡の始まりは

一匹のねこと少女の出会いから始まった。


チートも武力介入もする事無く、ねこ撫で声を駆使してですら、困難を極めたという。

では

一体どの様に世界を征服したのか?


その一歩を覗いてみよう—————

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