SRPGのエース傭兵に転生した件~またリセットか、このヘタクソめ!~
ジャパンプリン
第1話 単騎駆け! やめて!?
俺は、会社の帰り道でトラックに撥ねられ、転生した。転生先は、不思議なファンタジー世界だった。俺は傭兵で、戦争に駆り出される。それはいい。だがこの戦争、妙に人数が少ない。味方も敵も、せいぜい10~20人程度。この世界の人間は、それを戦争と呼ぶ。そして、開戦した途端行動の自由が奪われる。俺に出来ることは、目の前の敵を斬るか斬られるか、はたまた避けるか、それだけだ。あるとき、仲間が死んだ。赤い髪の頼りになる騎士だった。惜しいやつを亡くした、と思った瞬間、俺の意識は飛び、転生直後の場所、時間に戻された。再び同じ仲間と会い、二度目というのに最初の会話は決まって同じ。これは……SRPGの世界だ。俺はそう確信した。
この軍の大将格はブリュ国の王子、プリンだ。彼は、俺の雇い主でもあるクレム国に修行に来ていたのだが、祖国が戦火に見舞われたとの報を受け、蜂起したらしい。クレム国はプリン王子を全面支援することになり、クレム国のメイダ王女と共に従軍することになった。現在のプリン軍はこんな感じだ。
<俺>
傭兵ウルヴ:俺。パワー、速さ、硬さ全てを兼ね備えたエース。
<その他>
聖騎士オルド:じじい。まだ現役。
騎士ラクン:緑。パワー△。
騎士フォクス:赤。結構強い。
重騎士ハドン:堅い。遅い。
弓兵ノマル:没個性。
天馬騎士メイダ:クレム王女。魔性の女。
シスタービティ:ビッチ。
女騎士エミリ:優しい。
戦士ガイ:相棒。パワー◎硬さ〇
プリン王子を含めて総勢11名。この人数で国を救うとか、正気を疑うぜ。だが、それがこの世界の常識だ。受け入れるしかない。さて、プリン王子のありがたいお言葉を頂戴したら、次は開戦だ。王子の掛け声とともに、体の自由が奪われる。さあ、戦いの、始まりだ。
今回の戦いは8人で挑む。全員参加じゃない。代表戦のようなものだ。これもしきたりの一つだろう。王子は毎回参加だ。自ら前線に立ち続ける、その姿勢は評価に値する。だが、もう少し強くなってくれ。正直足手まといなんだよ。さて、今回選ばれたのは、俺、じじい、緑、赤、弓、王女、ビッチの7人+王子(固定)。……このプレイヤー、センス無いな。じじいは後半荷物だし、緑も非力すぎる。両方OUT、エミリ&相棒INだろ、常識的に考えて。
まあいい。コイツもいずれ学習するだろう。とりあえずは、目の前に集中するか。
戦いが始まった。基本的に、考えることはない。目の前の敵を斬るか、斬られるか、ただそれだけだ。時折、俺の意思とは無関係に足が動き、戦場での位置が変わる。他の連中も同じだな。さて、今回の布陣は――と、周りを見渡してみて気付いた。
コイツ、やりやがった。俺だけ先行してる。あ、ちょっと、そっちは――抗議の声を上げる間もなく敵の目前に連行された。目前には斧を構えた上半身裸の男。と、ここでようやく体の自由を一部取り戻す。これは、俺のターンだな。食らえ。
俺はふわりと宙を舞い、両手で剣を振りかぶると、落下の勢いと共に剣を蛮族に叩きつける。やったか? いや、まだだ。あれを食らって生きてるとか、相変わらずこの世界の物理法則は歪んでるぜ。さて、次は蛮族のターンだ。だが、俺は知っている。こいつらの攻撃は、当たらな――!!! 痛てえ! いや、気を確かに持て。俺はまだ生きてる。もう一回、俺の攻撃の番がある。
二度目の斬撃で、無事蛮族は仕留めることが出来た。だが、この状況。ひい、ふう、みい。あと3人に囲まれてる。やべえ。……確かに俺は強いし、単身突っ込ませたくなる気持ちは分かる。だが、そんな俺にも限度ってもんがある。この状況、仮にさっき避けてても大ピンチだったじゃねえか、全く……。
覚悟を、決めるか。
あの後、もう一発食らって万事休す、と思ったが残り二人の攻撃を無事躱し、俺は九死に一生を得た。そんな俺の活躍もあり、プリン軍は勝利した。他の連中の消耗は……大したことないな。コイツらは一対一か、ニ対一で戦っていた。解せぬ。
――――
戦いが終わり、俺は体の自由を取り戻す。これから次の開戦までが俺の自由時間。ボーナスタイムというヤツだ。え? 逃げないのかって? 無理だ。見えない壁に阻まれて、動ける範囲は限られてる。だがそれでも、この時間は大切だ。開戦前の王子の挨拶は何度周回を重ねても同じだが、この時間の同僚との会話だけは毎回異なる。まるで、この時だけ人間に戻ったかのように。この不自然な世界で唯一、生を感じられる場所。それがこの幕間だ。
「ウルヴ、お疲れ様。でも今日の戦い、あんなに一人で先行して。危なかったわよ」
「エミリか。そうだな。あれは判断ミスだ。次は多分、大丈夫だ」
「なんで『多分』なのよ。もう、しっかりして。あなたがいなくなったら私――」
女騎士エミリ。これまでの周回で分かったのだが、彼女は最初から俺に好意を寄せてくれている。戦闘内容で会話も変わるが、常に俺の心配をしてくれる。一度つらく当たってしまった周回もあったが、その時も陰で寄り添ってくれた。心の伴侶ともいえる存在だ。
視界の端で、シスターのビティがテントに入るのが見える。あれは……なるほど。今日は緑か。ビティは常に誰かのテントに潜り込む、そんな奴だ。過去の周回では、俺も世話になったことがある。その時もエミリは見て見ぬふりをしてくれた。エミリは……大事にしないとな。
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