第三章:迷宮攻略編

第23話 初めての召喚魔法

オリバーの発言に会場は凍りついた。



オリバーの圧倒的な戦闘を目の当たりにした者、それを経験した者、それを称えた者。

今回の表彰や褒美はそれに対して与えられた物だと思い、誰しもが実戦クラスへ入るものだと思っていた。


―――しかし、裏切られた。



リンクス学院長は驚いてオリバーに問う。


院長「今…!今なんて言った!?"実戦"の聞き間違いだよね!?」


 


国王「まあ落ち着け、リンクス。オリバーは実験クラスと言ったんだ。」


焦る学院長を国王はなだめた。

そしてオリバーに問う。



国王「何故、実験クラスを選んだか理由を聞かせてくれるか?」



オリバー「今使える魔法をもっと研究し、新たな魔法を創造し、実験することが、僕が強くなる一番の近道だと思ったからです」


実際、オリバーは"冒険者として実戦はできるからいいや"と思っていた。



国王「ふっ…我々は本質を見失っていたようだな。よろしい!オリバー!君は明日から実験クラスの生徒として登院するように!」




―――そうして閉会式、表彰式は終わった。


そして次の日。


オリバーは実験クラスにいた。



ヴェル先生「よーく来てくれたねぇ、オリバー君!あの試合を見て僕達も聞きたいことが山ほどあるんだよぉ!」


そう言って歓迎してくれたのはこのクラスの担任の

モルデカイ・ヴェルニクス先生だ。

みんなはヴェル先生と呼んでいる。


ヴェル先生「歓迎の証として、君が好きな魔法をやろう!さあどんな魔法をやろうか!?」

とヴェルニクス先生は問う。


オリバー「んー、召喚魔法がしたい!」


フードの男との授業で魔導書も魔導具も使え、魔法の創造まで出来るようになっていた。

そんなオリバーが唯一触れたことの無い魔法――


それが召喚魔法だった。


「おおぉ!すんばらしいねぇ!やろう!召喚魔法!オリバー君は初めての召喚魔法だろう?それなら契約型がいいだろうねぇ!直ぐに書くよ!待ってて!」


ヴェルニクス先生は話の途中から凄い勢いで魔法陣を描き始めた。


「さあヴェルニクス君!ここに君の血を垂らし、最大限の魔力を注ぐんだ。そして何を召喚したいか頭の中で念じるんだ」


ヴェルニクス先生が書き終えた魔法陣に、血を垂らして大量の魔力を言われた通り最大限注ぎ込んだ。


すると魔法陣が緑色に激しく光り、その光の中心に小さなシルエットが見えた。


光が徐々に弱まり、その中に小さな身体と小さな羽が見えた。


―――妖精だ。



妖精「やっほー!アタシを召喚したのはー……」


妖精はオリバーを見た。


妖精「なんとっ!君だったんだねっ!アタシ、ティリルっ!これからよろしくねっ!ご主人様っ!」



オリバー「う、うん。よろしくね」



オリバーは何も分からず妖精と契約した。

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