第12話 闇商店、再訪

冒険者ギルドを後にしたオリバーとガッツは、

慣れた足取りで怪しい路地裏へと向かった。


ガッツ「よおー!店主!またきたぜー!」


店主「いらっしゃい…ってお前らか」


店主の向かいに人がいた。


ガッツ「おっ?珍しくお客さんか?」


店主「いやぁ、そうなんだよ!

お前らが来てから何故かチラホラと客が来るようになってな!

ありがたいのか迷惑なのかわかんねぇぜ、ッたく…」


そしてそのお客さんもオリバーとガッツの方を見る。


???「ん?子供か?いや、鉄ランク…冒険者か」

そう言ったお客さんは金色のネックレスをしていた。


ガッツ「アンタ、金ランクかよ!!大物じゃん!!」


オリバー(金ランク冒険者もこんな店くるんだ…)


金ランクの客「お前たちも遺物に興味があるのか?」


オリバー(ん?遺物ってなんだ?)

ガッツ「遺物ってなんだ?」



金ランクの客「なんだ知らないのか。

知らないのにこんな所に何の用だ?」



店主「あー、こいつらは遺物には興味はねぇが、

身につけてるものはほとんどその類いだ。

依頼の報酬でなんか買いに来たってとこだろ」


ガッツ「さすが!そうなんだよ!みてよこれ!ジャーン!!」

さっき貰った袋をそのまま見せた。


金ランクの客「これが依頼の報酬か?

鉄ランクにしてはかなり多い気がするが…」


店主「いや!まて!お前らが鉄ランクだって!?

ついこの前まで紙のギルド証だったろうが!

どういうことだ!?」



金ランクの客「紙から鉄に上がるには最低でも3カ月、

普通なら半年はかかる。

それを数日で上げたとなるとなんか裏があるんだな」


オリバー(さすが金ランクだ。何でも知ってそうだな…)


ガッツ「森の奥の調査依頼を受けたんだけど、

間違えて"白蛇"を倒しちまったんだ。

それでいきなり鉄ランクになった!」


金ランクの客「"白蛇"を倒しただって!?たった2人で!?

…いやそんなわけない。ほかにもパーティがいたんだな?」

店主「にわかには信じがてぇな…」


店主もお客さんも信じていないようだ。



ガッツが経緯を細かく説明した。 



金ランクの客「なるほど。まあ信じるしかないか。

あ、そうだ。君たちそこまで強いなら、

君たちが銅ランクまで上がった頃に、

"オレ達"と共同任務をやってみないか?」


オリバーとガッツは顔を見合わせたが、

オリバーが頷いたことでガッツも決心した。


ガッツ「そっちがいいんならいいぜ!

ソッコーで上がってやるから待ってろよ!!」



金ランクの客「いい心意気だ。自己紹介がまだだったな。

オレの名前はカイム。

銅ランクに上がった頃にギルドに託けてくれ。

そうしたらオレらが共同任務を発注する」


ガッツ「俺はガッツ!こっちの無口はオリバー!

まあほんとはもっと喋るけどね!それもまた話すよ!」


カイム「わかった。じゃあオレはいくよ」

2人はカイムの姿が見えなくなるまで見届けた。


ガッツ「さ!疲れたし帰ろうか!」

それを聞いたオリバーも頷く。


店主「おい!!お前ら!!買い物は!?」





そうしてオリバーとガッツの冒険第一弾は終わった。

銅ランクになるまでおおよそ1ヶ月くらいかかる。



オリバーは魔法の訓練をすることにし、

ガッツは騎士学校の授業を真面目に受けることにした。




それぞれの日常へと戻ったのだ。




帰路についたオリバーの背後に覚えのある気配が立った。


オリバー「なんの用?」


フードの男「よくわかったな」


オリバー「なんとなくね」


フードの男「だいぶ魔力探知も慣れてきたようだな」


フードの男はまるで師匠かのようにオリバーを褒める。


オリバー「で、なんの用なの?」


フードの男「そんな大したことじゃない。

大会の日程が決まった…。1ヶ月後だ。

それまで少し稽古をつけてやる」



オリバーとフードの男の1ヶ月間の修行と授業が始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る