第11話 ランクアップ

依頼を終えたオリバーとガッツは、

報告の為に冒険者ギルドのカウンターに来ていた。


ガッツ「よお!終わったぜ!森の奥の調査依頼!

あんなに難しいなら先に言っとけよなー!!」

ガッツは宣言通り文句を言った。


受付嬢「え?その調査依頼は討伐依頼の為の調査で、

痕跡や報告書を提出してくれればいいだけなんですが…」


ガッツ「ん!?どういうことだよ!まあいい!報告書もある!

それとこれ!戦利品!」

ドサッ!とカウンターに大蛇の戦利品の入った包みを置く。


受付嬢「これは…!白蛇の牙と目…!?

え、あなたたち…倒したの!?」


ガッツ「ああ!倒したよ!これが依頼なんだろ!?

こんな危険なの俺らみたいな初心者にやらせんなよなー!」

ガッツはまだ文句を言っている。


受付嬢「…少し待ってて。私じゃ判断できないから」

カウンターの奥へと消えていった。


暫くして職員のお姉さんが出てくると、

その背後から普通の人間とは思えないほどの巨体で、

防具なんて必要なさそうな鋼の肉体を持った男が現れた。


???「なんだぁ!?珍しく呼ばれたから来てみりゃあ…

ガキじゃねえか!!」

とても大きなしゃがれ声で怒鳴られた。空気がピリピリとする。


ガッツ「ガキじゃねぇよ!

それよりこんなヤベーやつ連れてきてなんなんだよ!!」


受付嬢「ヤベーやつじゃありません!

この方は当冒険者ギルドの長です!」


ガッツ「ギルドマスター!?やっぱヤベーやつじゃん!!

なんでそんなすごい人呼んできたんだよ!」


受付嬢「あなたたちが想像を超える報告をしてきたからよ…」

ヴァルカンさん、後の処理をお願い出来ますでしょうか?」


ヴァルカン「ああ、任せとけ!

こりゃちょっとややこしいからなぁ!

さあお前ら!話を聞かせろ!白蛇を倒したって!?

子供2人でか!?

コイツがどんな強さか知ってんのかお前らは!」



ガッツ「そりゃーめちゃくちゃ強かったぜ!

攻撃が速すぎて見えねーし、

仕掛けたトラップは全部読まれてるし、

強くて賢くて…ほんと死ぬかと思ったぜ…」



ヴァルカン「まあそういうことじゃねぇんだがな!

アイツは銅ランク以上の冒険者がパーティを組んで、

やっと互角にやりあえるくらいの強さなんだ!

それをお前らガキが2人で倒したなんて、

信じられねぇって話だ…」


ガッツ「でもソイツが証拠だろ?」


目の前には戦利品が鎮座している。


ヴァルカン「…そうだな。

これを持ってきたってことは倒したってことだ。

牙を抜かれ目をくり抜かれても尚生きているわけがねぇ。

それにこれを倒した冒険者から奪ってこれるはずもねぇ」


ヴァルカンは考えていた。

そして――


ヴァルカン「まあ…信じるしかねぇな…。

そこでだ!お前らのランクを上げる!

これが討伐できるってことは銅ランク以上だが、

その下のランクでの経験があっての銅ランクだ!

お前らは俺の権限で紙ランクから鉄ランクまで昇格だ!!」


ヴァルカンの大きい声はもちろんギルド内全てに響き渡り、

全員に注目されていた。


ヴァルカン「それと、お前らの戦いぶりを見てみたいんだが、

手合わせ願えるか?」


ガッツ「ぜってーやだよ!!」



カウンターの奥から職員のお姉さんが出てきた。


受付嬢「はい、これ。依頼の報酬と白蛇討伐の特別報酬!」

ガサッ!とカウンターに大量のコインが入った袋を置く。


ガッツ「お!やったー!ありがとー!」

ガッツは素直にお礼を言って受け取った。


ガッツ「これでまた装備やアイテムが買えるぜ?

闇商店行ってみるか?」

オリバーは「同じこと考えてた」と言うように頷いた。


ヴァルカン「じゃあな、お前ら!

今後の活躍も楽しみにしてるぜ!!」


受付嬢「あなたたち、気をつけてね。

今日は休んでまた明日依頼を受けにおいで」


ガッツ「うん!ありがとう!じゃあなー!」



2人はその足で闇商店へと向かった。

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