公爵令嬢に転生したけど、こちらでも居場所がないようなので、とりあえず国獲りをしようと思います。 ― 精霊に愛されすぎた少女の静かなる叛逆 ―
@hshs-pon-pon0824
第一話「プロローグ」
【前書き】
はじめまして、宵月の兎です。
この作品を読んでくださってありがとうございます。
※暴力描写があります/ゆっくり更新です
*****
――それは、音とも光ともつかない
まさに奇跡だった--
大地は歓喜に震え、草花は美しい調べを奏で、夜空の星々は大海原を照らすように輝きを増し、幾千万の光の飛沫が、世界を祝福の色に染め上げた。
◇ ◇ ◇
数多の精霊が守護し、繁栄を極めた国――ヴァルムント王国。
絶対の威を誇る霊峰グレイト・ヘイヴンは
「竜の雫」と呼ばれる湖を抱き、自然の要塞として周辺諸国の侵略を拒み続けてきた。
精霊たちは儚く純真な人間を愛し、小さな隣人として寄り添った。
精霊の恩寵を賜った大地では、どんな植物・農作物も良く育ち、霊峰に連なる山脈からは、常に清らかな水が滾々と湧き出す。
人々は、凶作で飢えることも、疫病に苦しむこともない……まさに王国の黄金期を生きていた。
――しかし、長すぎる繁栄の時代は、徐々に人々の心を鈍らせていった。
どれだけ繁栄を極めた文明であっても、人々が心の純真さを失ってしまってはお終いなのだ。 いつだって、傲慢で浅ましい人間の心が国を壊すのだから。
建国から三百年程、ヴァルムント王国も自国内の繁栄では飽き足らず、次第に周辺諸国への侵略戦争を繰り返すようになっていった。
彼らは精霊を『使役』し、古代魔法を振るわせ、圧倒的な武力で次々と他国を蹂躙した。
そうして滅びた国の民たちは奴隷とされ、鉱山で命を削り、拷問の果てに研究材料にされ、女子供は性の地獄に落とされた。
とうとう彼らは、同じ人間を家畜以下のものとして扱うまでになってしまっていた。
――時は流れ、王国に精霊は存在しなくなり、人々は精霊と友愛を結んだあの時代を、お伽話の中の出来事としての認識しかもたず、信仰も廃れていった。
代わりに、破滅を呼ぶ黒い影が少しずつ人々の心に巣喰い広がった。
初代の偉大なる王の子孫達は、精霊がいなくなった事を他国に知られない為、『古きを捨て新たな未来を!』と声高に貴族達を煽り、過去の重要な歴史も全て封印してしまった。
彼らは何も分かっていなかったのだ。
人間の数百年など、精霊達にとっては一瞬の瞬きの様な時間だということを。
精霊たちが『人間』を愛したのは、ほんの気まぐれだったのだということを。
ヴェルムント王国は、まさに夢幻卿
愚かな人間たちは過ちを繰り返す。
精霊王と最初の友愛を結んだ、初代の偉大なるヴァルムント王が残した
『建国紀』の存在すら忘れてしまうほどに--
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最後まで読んでくださって、ありがとうございます。少しずつ物語が動き始めますので、次話もお付き合いいただけたら嬉しいです。
感想はいつでも大歓迎です。
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