戦場のビュッフェ

ぴよぴよ

第1話 戦場のビュッフェ

報告書 戦場のビュッフェ


「戦場のビュッフェ」は、主に内戦や紛争地帯で起こる異常性です。

主に激戦が予想される戦地や、犠牲者の多い場所でランダムに開催され、開催の予測は不可能です。


概要

戦場に突然ビュッフェ台が現れ、戦闘参加者の最も好む料理が並べられます。テーブルと椅子も人数分用意され、どの兵士もみんな着席することができます。

ビュッフェ台を見つけた兵士は、皆例外なく空腹状態に陥り、食事を始めます。

ビュッフェを前にした兵士は、攻撃性が低下していき、やがて敵味方関係なく、会話を楽しむようになります。

異なる言語の人間とも、何の問題もなく会話できます。

どの兵士も、友人のように接します。再会を約束した後、兵士たちは全員、自宅へ強制送還されます。


実録

この異常性は、〇〇年に〇〇地区で起こった、○✖︎作戦時に確認されました。


両軍が激突した際、森にビュッフェ台が出現。森にいた兵士はみんな食事をした。

この時のビュッフェの内容は、当時戦争をしていた人間が最も好む味になっていた。

その後、兵士たちは例外なく自分の家にかえされた。

ビュッフェの開催は、当局や司令部には一切悟られず、兵士が全員家に強制送還されてから、初めて確認された。


以下、インタビュー記録


インタビュアー「ベーカー博士」

回答者「○✖︎作戦に参加していた&%側の兵士一名」


「ビュッフェはどんなものでしたか?」

「すごかったな。俺たちが突入を開始した時に、どこからともなく美味そうな匂いがしたんだ。そしてどういうわけか、無性に腹が減った。さっきレーションを食ったばかりなのに。仲間もみんな我慢できなくなって、匂いの元に向かった。そしたら、ご馳走が並んでいたんだ」


「食事の内容を詳しく教えてください」

「えっと、俺の故郷で有名な郷土料理があったな。揚げバナナやホットスナックもあった。一番びっくりしたのは、俺の婆ちゃんの作る焼きリンゴのアイス乗せがあったことだ。どこにも売ってないもんなのに、そこにあったんだよ。俺はつい敵兵の若い奴に、婆ちゃんの料理を自慢して食わせた。そいつも美味いって言ってたよ」


「敵国の兵士とは、どのように交流したのですか?」

「どうやって仲良くなったか覚えていない。敵も味方もみんな一緒になって飯を食ってたからな。隣のやつが敵か味方かなんてどうでもよかった。その時はただ、俺の婆ちゃんのりんごデザートを食ってほしくて、いろんな奴に自慢して、思い出話をした。俺たちは食事をしながら、家族のことや故郷のことを語り合った。相手が憎いとか、そんな感情は湧かなかったな。みんな楽しそうにしてたよ」


「その後、戦場には戻らなかったのですか?」

「戻らなかったな。今度戦争が終わったら、敵兵のそいつの家に遊びにいく約束もした。俺の地元の塩クラッカーを持ってこいだと。あいつの実家の酒と合いそうだってさ。なんで友達と殺し合わなきゃいけないんだ?戦争なんかどうでもいいね」


「実家に強制送還された時、どんなことが起こりましたか?」

「戦場の奴らとまた会えたらいいなって話をしたら、勝手に家にワープしてた。俺は実家の椅子に気づいたら座っていた。みんなびっくりして、妹が泣きながら抱きついてきたよ。そこでみんなにビュッフェの話をしたら、みんな信じてくれた。今度友達もうちに呼ぼうって話をしたんだ」


インタビュー終了。


補足

インタビューに応じた兵士の「友人」の身元を捜索。

「友人」は次の軍事作戦で死亡していたことがわかりました。


報告は以上です。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

戦場のビュッフェ ぴよぴよ @Inxbb

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ