第1話 憂鬱な1日

 AM6:20カーテンの隙間から僅かに差し込む太陽の光。今日も朝が来た。はぁ、今日も学校か…。

 アラームを消し、あと十分だけ二度寝しよう。私はすぐに二度寝した。


透愛すあ好きだよ。これからはずっと俺の傍にいてね」


「うん、私も○○君の事ずっと前から好きだった」


 夢が良いところなのに、誰かが遠くから話かけてくる。


「透愛起きなさい! 何時だと思ってんの! 遅刻するわよ!」


 私は、びっくりして飛び起きた。お母さんの叫び声が階段から聞こえる。何だ、今のは夢だったのか…。初恋の○○君と付き合えたと思ったのに…。なんて思っている間に、時刻はAM7:28。急いでベッドから出て、身支度をした。


「お母さん髪の毛結んで!! 早く時間無い」


「時間無いならそのまま行きなさい!そもそも自分でしなさい!」


 少しピリピリしながらも渋々お母さんはヘアセットをしてくれた。


「行ってきます」


「気をつけてね、今日は透愛が好きなチキンカツ作ってあげる。頑張ってね」


 そう言ってお母さんは私を見送ってくれた。私はイヤホンをつけお気に入りの曲を聴きながら学校へ向かった。


「キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン」


 靴箱に着いた瞬間チャイムが鳴って、ギリギリ間に合わなかった。私は、しかたなく職員室に遅刻届けを書きに行く。職員室は丁度会議をしているようで、先生が大勢いた。


西園寺さいおんじ 透愛すあまた遅刻か! 今学期12回目だぞ、進級出来なくなるぞ!」


 担任に職員室で怒鳴られた。私は軽く頷き教室へ向かった。朝礼が終わり一限が始まる数分前に席に座った。朝から憂鬱だ。何故かって一限はグループ学習だからだ。

 先生がグループを作ってと、そう皆に指示をした。だけど、私だけがどこのグループにも入れて無かった。


「西園寺! はよ適当にどっかのグループに入れてもらえ」


 先生は簡単に言う。私は、なんだか恥ずかしくなった。適当に、一番近くに居たグループに声をかける。


「一緒のグループに入ってもいいかな?」


「……いいよ」


 グループの班長が班員と目を合わせながら渋々入れてくれた。何で自分はこんなにも惨めなんだろう。涙目になりながらも、必死に泣くのを我慢した。一限終了のチャイムが鳴った。皆こっちを見てヒソヒソ話をし始めた。私はそれに気づき教室を出て、女子トイレに入った。


 トイレのじめじめした空気、排泄物の匂い、散らかったゴミの山、この状況も慣れたものだ。私は高校1年生に入って少し経った頃からこの学校生活を送っていたからだ。




 一日の終わりを告げるチャイムが鳴った。

 やっと帰れる。そう思い、私は足早に学校を後にした。

 私は俗に言うにあっていた。絶対に家族にはこんな事言えない、だからといって話せる友達もいない…。

 そんなことを考えながら、一人で家に向かって歩いた。


 しばらく歩いて、やっと家に到着した。一目散に自室へ行く。

 学校では気を張ってしまうので、すごく疲れた。

 いつまでこんな楽しくもない人生を送るのだろう。私は毎日思っていた。いっその事消えてしまいたいな…。


 そう考えながら、枕を濡らし眠りに入った。







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