これは著者の奥さまが検診に引っかかり、検査をしている時期のお話。
夫婦は、熱川に旅行に行くことになる。
愛犬、ジローを連れて。
このエッセイで面白く感じたことのひとつは、このジローの存在である。
著者ははじめ奥さまと2人水入らずで行きたかったが、留守番の子どもは犬アレルギー。
奥さまもやがてジローを連れて行くことを希望する。
ジローは結局、一緒に旅行に行けることになった。
旅先でも、ジロー優先。
温泉も食事も交互に、散歩も交互に受け持つ。
ジローはこの旅の主役だったかもしれない。きっと嬉しかっただろう。
こうしてジローに手を焼きながらする旅行は、きっと良い時間で、夫婦の大切な想い出になったことだろう。
砂浜を歩きながら2人で奥さまの病気に立ち向かおうと気持ちを強く持とうと決意する会話には胸を打たれた。
ラストの海風を“ヤマイ”として、それに動じない姿がとても良い。
読了後、この夫婦が末永く幸せに暮らせますようにと願わずにはいられない作品。
ぜひ、本作を読んで、熱川の風を感じて欲しい。