放課後ピアノクイズ(後日談)
さらに後日、逆茂木さんに付き合ってもらい、推理ゲームの答え合わせを行った。なおその内容が『ピアノの技術評価』にもなってしまうため、逆茂木さん以外の女子がいない場所で話をした。
そしてその答え合わせによって僕たちの音楽センスの無さが浮き彫りになった。彼女たちの演奏に対して偉そうに考察を語れるような身分ではなかったのである。
「実力順の認識が違うんだよね。私が一番上なのは正しいんだけど、次が③の狭間紬か④の石垣深月で、②の堀詩乃が一番下」
「堀さんが一番下?」
彼女を二番手と見ていた僕たちにとって、それは衝撃的な事実だった。
「彼女は小学生でピアノを習うのを辞めているし、ブルグミュラーの練習曲で挫折してるような子だからね。みんなの前で弾いているのも初級レベルの曲ばっかり。
それを聞いて、宗太郎が「狭間と石垣はどっちが上なんだ?」と尋ねる。
「うーん、難しい質問だね。
「どれが月の光だったのかも分からないけど、それってそんなに難しい曲なの? ゆったりとして簡単そうな曲ばかり弾いているなぁと思ってた」
そう言うと、逆茂木さんが無言で僕のことを睨みつけてきた。どうやらまた地雷を踏んで爆発させてしまったらしい。
「
「ちなみに逆茂木さんはクラシック以外の曲を弾くことを禁止されているんだよね。学校で気晴らしに別のジャンルの曲とか弾いてみたりはしないの?」
「なるほど、あなたたちはそういう発想をするんだ。でもそれはクラシックがつまらないと思っている人の発想だよ。クラシックが好きならそれを弾くこと自体で十分に気晴らしになるでしょ。私はまだクラシックを弾いていて退屈だとか息苦しいと思ったことはないよ」
つまり答え合わせの結果として──
・そもそもの実力が不足している堀さんを選んだ
・クラシックはつまらないから息抜きが必要……と見当違いな決めつけをして逆茂木さんを選んだ宗太郎。
・普段クラシックしか弾いていない様子を軽視して狭間さんを選んだ山田。
この順に悪い選択をしたと言えるだろう。ミステリーオタクの
***
なお罰ゲームのため、宗太郎は逆茂木さんに、
そして全員が成功させてしまった。
すっかり取り残されてしまった僕は三人から回収した三千円を眺めながら、鬼の形相で僕を睨みつけていた──石垣さんの顔を思い浮かべていた。
あの一件のせいで彼女からは口も聞いてもらえないほど嫌われてしまっている。さて、この三千円でなにを買えば彼女は許してくれるだろうか?
【了】
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