【放課後にピアノを弾いていたのは誰?】この推理ゲームには『告白』という罰ゲームが待っています。
猫とホウキ
放課後ピアノクイズ(ルール編①)
この学校では『美術』『音楽』のいずれかを芸術科目として選択する必要があり、クラス編成は文系・理系とさらに芸術科目の選択内容によって決まるため、クラスの中で芸術科目の選択が異なるということは起こらない。
僕の所属する2年A組は『音楽』のクラス。音楽クラスなのだから当然、音楽を得意とする者だけが集まる──なんてことはなく、たとえば歌が得意だったり楽器の経験があったりという積極的な理由で音楽クラスを選んだ者がいる一方で、僕のように『絶望的に絵が下手であるため美術は不可』という消極的な理由で音楽クラスを選んだ者もいたりする。
華麗にクラシック曲を弾きこなすピアノガールが愉快な仲間たち(=楽譜も読めない音楽音痴たち)と一つのテーブルを囲んで、仲良く(たまに半ギレしながら)ハンドベルの練習をしている──それが音楽クラスというカオスの日常なのである。
***
その推理ゲームは唐突に始まった。起案者はミステリーオタクの
そのとき僕たちは図書室にいた。この図書室、何故か手塚治虫の漫画や有名ライトノベルのシリーズなどが大量に置かれており、2年A組の帰宅部四人衆──要するに時間を持て余している僕たちにとって放課後を過ごすのに都合の良い場所だった。
もちろんアルバイトがあったり用事があったりで、いつもいつも全員が揃うわけではない。しかしその日は四人衆が集結し、とりあえずライトノベルの表紙詐欺(表紙の女の子が可愛いのに内容と文章が酷すぎるという重罪)について語っていた。
石川がそれを提案したのは、ちょうどその会話が途切れたタイミング。
「面白いゲームを思いついたんだ。ねえ、みんなやってみない?」
「お前が考えたゲームで面白かった試しがないんだが?」
すぐさま反応したのは
「いや、今回のは自信があるんだ。名付けて──放課後ピアノクイズ!」
「…………」
あまりにもつまらなそうなゲームだったために、一同絶句。そして沈黙のあと、
「えっと、なにかな。その放課後なんとかクイズって」
仕方なく僕が合いの手を入れる。正直なところ僕もミジンコほどの興味もなかったのだけど、山田の(何十回と繰り返してきた)不毛な話に付き合うのも疲れていた。
「マロンちゃん、聞いてくれてありがとう」
なお僕の名前は
「放課後、吹奏楽部の練習のない日なのに音楽室からピアノの音が聞こえてくることってあるよね。あれってピアノ経験者たちが集まって弾いているらしいんだ。先生からちゃんと鍵を借りて」
「そうなんだ」
「その集まっているメンバーって、うちのクラスの女子たちなんだって」
「へえ。誰かな」
「よく音楽の授業前とかにピアノを弾いて遊んでいる人たちだよ。つまり──」
「この四人ってことだね」
「ほう、それで──どんなゲームなんだ?」
女の子の名前が並んだと同時に興味を持つ宗太郎。でも山田の話には飽き飽きしているし、少しでも
「彼女たちのうちの誰かがさ、よくあのアニソンの名曲を弾いているんだよ。『残酷な天使のテーゼ』って、古いけど有名なやつ」
「そういや廊下を歩いていると聞こえてくることがあるねぇ。俺はエヴァのアニメは全部見てるし、あの曲はアニソンの中でも一番好きだから覚えているんだよねぇ」
表紙詐欺について語り続けていた山田が、アニメソングの話題になった瞬間に食いついてくる。彼はアニメ、漫画、ラノベの全域をカバーする(そして主に美少女を追いかけている)、自称ライトな二次元オタクである。
「それでなんとかピアノクイズって、なにをするの?」
「放課後ピアノクイズ! マロンちゃん分かっていてボケているよね。で、これはね、ルール自体は簡単だけど、とっても奥深いゲームなんだ」
「どうせ『残酷な天使のテーゼ』を弾いているのが誰なのかを当たるだけのゲームだろ。どこが奥深いんだ?」
「そ、そうだけどそうじゃない! 僕はもっとこう知的というか、推理ゲームみたいなものをやろうと言っているんだ!」
その掛け合いで趣旨は理解できた。つまり音楽室から流れてくるメロディだけを聴いて、誰がそれを弾いているのかを予想するというゲームである。候補者は先ほど
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