八月三十一日放送、××ニュース

 これは××町のローカルニュース番組の音声である。


(オープニング映像が流れる)

『おはようございます、××ニュースのお時間です』

『本日は八月三十一日、ついに夏休みが終わってしまいますね』

『そうですねー、田村アナは今年の夏、どんなふうに過ごしていましたか?』

『私は家族と海に行きましたね』

『海! 良いですね! 私も行きたかったなぁ。今年は忙しくてなかなか予定がたてづらくて……』

『そうですね、今年の夏は忙しくて相浦アナのように夏を満喫できなかった、という人も多いのではないのでしょうか? ということで本日は、今からでも遅くない、夏のおでかけスポットをご紹介させていただきます。では、××タロー!』

(画面が切り替わる)

『ハァーイ、田村さんオハヨー! ××タローです! 今日はですねぇ、なんと、沢村アナと一緒に××ウォーターパークに来ておりますぅ!』

『お、おはようございます! 沢村祥子さわむらしょうこです! ここ、××ウォーターパークは、県内最大級であり、唯一の水のテーマパーク! ウォータースライダーに水流プール、それに水上アスレチックまで完備され、お子様にとってまさに夢の楽園といった場所です!』

『ワァー、ボクもワクワクしちゃうナァー!』

『それじゃあ××タロー、一緒にー、レッツゴー!』

『レッツゴー!』

(二人一緒に駆け出す)

『まず最初にウォータースライダーに乗ってみます! このウォータースライダーはなんと全長百五十メートル! 景色も綺麗で、パークの目玉となる施設です! それでは実際に乗ってみようと思います!』

『沢村アナのこと下で待ってるヨォー』

『それじゃあ××タローのところまで行ってきます!』

(楽しそうな悲鳴)

(大きな水しぶきがあがる)

『アッハハ、楽しー! とっても爽快感があって、景色もよくって、本当にもう最高って感じです!』

『いいナァ、ボクも乗りたいナァ』

『それじゃあ次は××タローも乗れるものを紹介していきます!』

『やっタァ! でも、その前に、田村サァン!』

(画面が切り替わる)

『アハハ、二人とも元気いっぱいで、とっても楽しそうでしたね』

『そうですねぇ、もっと見たかったのですが、その前に本日のニュースのお時間です。相浦アナ、お願いします』

『はい。八月中旬ごろに起きた山間部の死体遺棄事件ですが、続報が出たようです』

(VTRが始まる)

『被害者の男性はB県在住の大学生、葉村昌紀さんだと明らかになりました。葉村さんは大学の研究の一環として××町を訪れた模様です』

(男性のインタビュー映像に切り替わる)

『……そうですねぇ、彼は優秀な生徒でした。私の研究に自力で新たな説を立て、それを証明するんだと意気込んでいたのに……。こんな結果になってしまい、やるせない思いでいっぱいです』

(女性のインタビュー映像に切り替わる)

『……え!? 葉村先輩亡くなったんですか? よく研究の相談にのってもらったり、飲みに連れてってもらったりしたのに……、信じられません。……自分はお酒飲めないくせして、飲み会にはよく顔出すんですよ。おまえらが楽しそうにしてるのが楽しいって。どうしてそんな人が……、なんで……』

(VTRが終了する)

『警察は依然として捜査を続けています』

『こんな悲しい事件が、この街で起きるなんて、信じられませんね……』

『……続いて、次のニュースです』

『現在、××町では夏風邪が流行中の模様です』

(VTRが始まる)

(病院が映し出される)

『いやーびっくりしましたよ。冬場ならわかるんですけどねぇ』

(病院の待合室が映る)

『夏風邪がここまで流行るなんてね。学校が始まったらいよいよ大事になるんじゃないかな』

(診察の様子が映る)

『まあ、しっかりマスクをして、安静にしていれば問題ないでしょう。ただの風邪なのでね』

(子供向けの風邪予防映像に切り替わる)

『てあらいうがいをしっかりしよう! わるいカゼにまけるな!』

(VTRが終了する)

『いやー怖いですね。実は私の息子も今、風邪っぽくてですね』

『それは大変ですね。しっかりマスクをして、田村さんも移らないようにしないといけませんね』

(××タローの声が響く)

『田村サァーン』

『どうやら、××タローがはやく遊びたくてしかたがないみたいですね。祥子ちゃーん!』

(画面が切り替わる)

『はい、沢村祥子です! 次にご紹介するのはボートレーシングです! 二人一組のチームで対決するのですが、今回は××タローと勝負していきます!』

『負けないゾォー!』

『私のペアはウォーターパークに遊びに来ていた十一歳のヒロキくんです!』

『が、がんばります』

『ボクのペアはユミちゃんダヨォ、頑張ろうネ!』

『負けません!』

(カウントダウンが始まる)

(レースが始まる)

(水をかく音がする)

(レースが終わる)

『ワァー、負けちゃっタ』

『やったね、ヒロキくん』

(二人がハイタッチする)

『ユミちゃんもヒロキくんもどうだった? ボートレーシング楽しかった?』

『うん! 楽しかった!』

『でも負けちゃったから、もう一回やりたい!』

(ヒロキが咳き込む)

『ネー、もう一回やりたいよネ』

『アッハハ、楽しかったもんね。また後で、もう一回来ようか!』

『ヤッタァー!』

『田村アナ! どうですか? ウォーターパーク行ってみたくなりましたか?』

(画面が切り替わる)

『田村さんどうですか?』

『とっても楽しそうじゃないですか。こんなの、行ってみたいに決まってるでしょう』

『そうですね! 私も行ってみたいです!』

『それでは、ウォーターパークリポートの続き、といきたいところですが、先にお天気情報です。相浦アナ、お願いします』

『はい! 今日の天気です!』

(映像が終了する)

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