シロウトDTM未満のうらみごと。 −改−
たねやん
DTM音源ピアノ化計画 ノ 反ススメ 前話『DTMという苦行、ピアノメーカーという偉業』
『安い電子ピアノをパソコンにつないで DTM 音源を演奏すれば、簡単にいい音のピアノが手に入るのだろうか』
*この文章は私が「KAWAI ES-120」使用レビューとして投稿した長文から、一部分を抜き出し大幅に加筆したものである。
誰の言うことも聞かず、ただ己の違和感のみを信じ、これを解決せんと戦った輩の敗北と逃走の物語。
注:アレな人特有のアレな文体です。速やかに退避してください!
(AIによる要旨の抽出)
■ 根本原理:幻想を捨てよ
・「楽器」ではない: DTM音源はミキシングのための「部品」である。演奏者のための「調整」は放棄されている。
・「最強」はない: 「ぼくの考えたさいきょうのピアノ」は存在しない。あるのは「妥協」と「割り切り」のみ。
・ハードウェアは偉大: 安価な電子ピアノでさえ、メーカーがいかに執念深く「弾きやすく」調整しているかを思い知れ。
——以下、本文
昨今の電子ピアノの入門機、特に、いわゆる「ポータブルピアノ」と分類されるクラスは、価格と取り扱いの利便性からも一定の需要があると思われる。
だが、ピアノ鍵盤のタッチを求めてこれらを購入すると大抵、そのコストダウンの壁にひどく打ちのめされることになる。
とりわけ「音質」の悪さに失望する。内蔵音源の品質も、ヘッドホンなどの出力アンプも、すべてが明らかに上位機種と差別されている。
音質を良くしようと高価いヘッドホンを導入しても、結局、元の音の悪さがクッキリ明らかにされてしまっただけ—— 一体、音楽を求める人間を何だと思っているのだろう、と怒りすらも覚える。
そこで、浅はかにも思いつくのが「電子ピアノのmidi鍵盤化」だ。
安物電子ピアノ本体を midi キーボードとし、DTM音源を良いタッチで弾く。
これで、鍵盤と音源代金だけで、簡単に高級電子ピアノが手に入りますよ!
実際、YouTube などでもそういう試みをされている方は沢山おられるし、かくいう私もそういう先駆者に触発・啓蒙を受け、この道に足を踏み入れた。同じことを考えている人が万に一人はおられるかもしれない。
これはそういう数奇者に対するある種の「警告文」である。
《DTM音源はただのパーツ、楽器じゃない 》
警告しておく 早まるな。それはあもりにも険しすぎる茨の道だ。
DTM は、ソシャゲ並の重課金ゲーだ。
私自身、今では迷い買い漁った音源代の合計のほうがピアノ本体価格をゆうに超えている。
だが、数々の販売者・開発者が「我こそは史上最高、究極のピアノ音源!!」と口角泡を飛ばし、得意げにまくし立てる製品群はどれも失望の坩堝、ボッタクリ粗製乱造同工異曲、異名同劣にすぎなかった。
⋯⋯まあ、それは言い過ぎである。正確に言うとDTM音源はあくまでも音楽を構成する多様な部品(ミキシングパーツ)であって、様々な性格性を抽出して切り取った一部でしかない。それゆえに本来のピアノのような柔軟・多彩な表現力は失われてしまっている。
普通に弾けて、柔軟に強弱をつけられる、ペダリング等の操作に忠実に反応する、そういう製品は驚くほど少ないし、操作性と音質を兼ね備えた『ぼくの考えたさいきょうのピアノ』は絶望するほど、意図的かと思うほどに存在しなかった。それは、何度もいうがピアノ音源はあくまで DTM 用のミキシングパーツにすぎないからだ。
《古今東西にわたる選択肢 》
DTMer は、それら無数の海底の真砂のごとき音粒の中から、今自分の音楽に最適なものを拾い上げ、配置して音楽を作り上げる。
ギターとドラムとピアノを並べて演奏すれば出来上がり、ではない。ギターはどのメーカーのどの音、ドラムはいつの時代のどういうスタイルのドラム、ピアノはクラシックか? ジャズか? ロックか? どのメーカーの、何という型板のピアノの、どのように調律され、どのような場所でどのような弾き方で録音された音か? DTMer は、それら全てをその時、その曲のスタイルに合わせて縦横無尽に選択し組み合わせる。だから音源も無数にあるのだ。
なんという耳! と解析力と記憶力、そして労力 …&財力。安易に踏み込むべき世界ではない。
《音源は商売道具、プロ機材である》
近年の価格暴落で忘れがちだが、そういうことだ。だから、家庭向けの機材のような親切丁寧な説明書はどこにもついていない。自分で探し、失敗を繰り返すしかない。まるで苦行僧である。
《思い知るメーカーの苦労》
さて、そんな魔窟に「ちょっと家のピアノの音が好きじゃないので」とか浮ついた、バカ丸出しの物見遊山をしたヤツはどうなったのか? 3年が経ったが、恥ずかしながら未だに入口から奥へ進めていない。
こちらとしては、難しいことはいいから、すぐ弾けていい音で気持ちよく演奏したい。
だが、市販の電子ピアノが違和感なく鳴らせるのは「そうなるよう、メーカーが必死で調整している」からだ。
midi 鍵盤でピアノ音源を弾くというのは、ただバラバラのパーツを渡されて「じゃ、あとやっといてネ」と、プロの仕事を素人に丸投げされるようなものだ。
《調整不足の苦役》
確かに、音質面では明らかに良いものが幾らでもあった。が、楽器としての体裁——鍵盤を弾く強さと実際の出てくる音の、特に音色のバランス調整が無茶苦茶。そうは鳴らんやろ! と、弾けばひくほどフラストレーションが溜まる一方。タッチとダイナミクスレンジ不一致の不快感は言うまでもなく、踏むたびに「ワシャーン!」と唸るペダルノイズや、鍵盤から指を離すたびに「ヴッ」とワザとらしいリリース音(ダンパーノイズ)。VSTの処理の限界なのか、サスティンペダルを離した途端、一斉にすべてのリリース音が同時に鳴る。酷いものは減衰音が切れてから指を離しても「ヴッ」
⋯⋯何もかも冗談のように奇妙で不安定。調整しようとパラメータをいじればいじるほど更におかしく、収拾がつかなくなってゆく。
《メーカー基準の煩雑さ》
もう一つストレスなのは「ピアノの鍵盤の中央ド」が C4 に調整されていない音源が多々ある(1オクターブ低いことが多い)問題で、その度にピアノなり DAW なりのトランスポーズをいじくる煩わしさと言ったら⋯⋯!
また、馴れないDAWでどうやったら入力されるmidiデータにトランスポーズを掛けられるのか、コレガワカラナイ。混乱し、ストレスばかりが蓄積してゆく(結局、Pluginboutiqe というパブリッシャー・サイトで「MIDI Polysher」という無料プラグインを入手しDAWに挿し込むのが一番手っ取り早かったが、結局そのたびにマウスでカチカチと鬱陶しい作業をするのは変わらない)。
インストール規格についてもバラバラ無茶苦茶。Programファルダに入るもの、ドキュメントに入るもの、はたまた「隠しフォルダ」であるApp data、Program dataに潜り込ませる奴。同一メーカーなのにいちいちフォルダまみれにしてくるヤツ⋯⋯! サンプルやプリセットなどのデータがどこに格納されるのか、しっかりと自分で決めてインストールを監視しておかないと痛い目に遭う。選択できないものもあり、後々に重い枷となってのしかかってくる⋯⋯!
DTMは、IT技術者の仕事なのか⋯⋯?
《DAW の音量仕様の洗礼》
また、これらの音源を再生するDAWの仕様に躓く。音が小さいのだ。これはミックス作業のため敢えてそうなって(ヘッドルーム)いる。特に生楽器のような振幅幅の大きいものは元からことさらにマージンを取って録音されているので、音量は本当に悲しいほど小さく。そして、DAWのボリュームを上げるとすぐにクリップ(上限)して割れたノイズだらけの音になってしまう。それでも電子ピアノ実機の半分の音量も出ないという現実。動画などで、大きな音で、こともなげに気持ちよく弾いているのを見ると、その時点で混乱してしまう。「きっと俺のやり方に不備がある」と意気を削がれてしまう。
《MIDI規格の仕様の限界》
最大の不満は「どんなに弱くそっと鍵盤を押さえても、必ず音が鳴る」などという、ピアノとして最も基本的な動作において最初から躓いている。これはmidi楽器は入力された鍵盤の打力を1~127に振り分けることしかできず、音源もただその通りにしか発音しないためだ。市販の電子ピアノはこのあたりを徹底的に「魔改造」されている。
《ソフトウェア競合など、多発する PC エラー》
それに、いちいちパソコンを繋いでソフトを起動すると――midi 接続が頻繁に不具合が出る。急に繋がらなくなったり、突然のサスティンペダル踏みっぱなし状態が直らず何度もパソコンを再起動したり、酷いときにはソフトがエラーを吐いて落ちまくる。
オーディオインターフェースや他のソフトウェアのドライバが干渉して、どうやっても音すら出ないこともある。
――DAW を終了させたあと、何故かデスクトップに置かれたファイル以外、ファイル名が絶対にブルー反転しなくなり、名前変更ができなくなる。また再起動⋯⋯ ピアノをちょっと鳴らすために一体どれだけの余計な手間手順段階を踏まねばならないというのか――
ぶっちゃけ『め ん ど く さ く て イ ラ イ ラ す る』
矢張りピアノはピアノ屋。ハードウェア演奏性の一体感は、パソコン音源ではついに得られず、何物にも代え難い。
安価な製品と言えど、いかに想像を絶する執念で調整が為されていることか。
一つ、賢くなった。
は゛か は、 かしこさ か゛ 1 あか゛つた!
⋯⋯そうは言っても、それだけで済ませてしまっては私の失った金と時間が報われない。次話では、私なりにたどり着いた推奨音源について説明したい。
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