聖夜の後片付け

チェンカ☆1159

聖夜の後片付け

 ある町に、毎年クリスマスになると子供達にプレゼントを届けにやってくるサンタとトナカイがいました。ところが、この町にやって来るのは有名なサンタとトナカイとは程遠い存在でした。

「ようやく着いたわ」

 クリスマスの数日後、プレゼント配りの仕事を終えたヨウルは町から離れた森の中にある我が家へと帰ってきました。相棒のルットゥも一緒です。

「さてと、来年までのんびりしましょうか」

「ヨウル、クリスマスはまだ終わってないわよ?」

 ルットゥの言葉に、ヨウルは苦笑しながら答えました。

「そうねルットゥ、後片付けまでがクリスマスだったわ」

「来年困らないために、今の内にやっておかなくちゃ」

「毎年のことながら、出発前は散らかるものね」

 そう言いながらヨウルは家の裏にある工房の扉を開けました。電気をつけると、仕事で使った道具や木切れがそこら中に散らばっています。

「はぁ、気が遠くなりそう」

「私は先にトナカイ達のお世話をしてくるわね」

「えぇ、お願いするわ」

 ルットゥはトナカイの飼育小屋へ行きました。それを見送ったヨウルは軽く気合を入れます。

「さてと、早く片付けてのんびりしましょう」

 机の上を綺麗にしたヨウルが工房の床を掃いていると、飼育小屋からルットゥが戻ってきました。

「ここからは私も手伝うわね、ヨウル」

「えぇ、助かるわ、ルットゥ」

 二人は協力して掃除をしたので、工房中はあっという間に綺麗になりました。

「ふぅ、ようやく終わったわ」

「お疲れ様、あとはお部屋でのんびりしましょう」

「そうね。ルットゥもお疲れ様」

 お互いを労りつつ、二人は家に入ろうとしました。 ところが、扉の前に見知らぬ箱が置いてあります。

「あら?これは何かしら。ルットゥは何か知ってる?」

「いいえ。さっき帰ってきた時は無かったわよね、ヨウル」

 二人で話し合った結果、家の中で箱を開けてみようということになりました。

「それじゃあ開けるわね、ルットゥ」

「えぇ、いいわよ、ヨウル」

 ヨウルが箱の蓋を開けてみると、中にはお手紙と二つのマフラーと二組の手ぶくろが入っていました。

「どういうことかしらね、ヨウル」

「とりあえず手紙を読んでみるわね」

「えぇ、お願いするわ」

 ヨウルはルットゥにも聞こえるように手紙を読み上げました。

「『かわいいサンタさんとかわいいトナカイさんへ、ささやかながらお礼を差し上げます。いつも子供達にプレゼントを届けに来てくれてありがとう。町の大人達より』ですって」

「あら、私達がサンタとトナカイだって、なんで町の大人の皆さんは知っているのかしら?」

「そうよね。しっかり変装して、わからないようにしているはずなのに」

 ヨウルとルットゥは揃って首を傾げます。

 実は大人達は彼女達の声を聞いて、まだ若い二人がサンタとトナカイの正体であることに気がついていました。そこでいつものお礼として、二人へのプレゼントを置いていったのです。

 そうとは知らない二人は不思議そうな顔をしつつも、プレゼントをありがたく受け取ることにしました。

「マフラーを巻くとあったかいわね、ルットゥ」

「手ぶくろをするともっとあったかいわよ、ヨウル」

「来年はこのマフラーと手ぶくろをしてプレゼントを配りましょうか」

「良いアイデアね!きっと大人の皆さんも喜んでくれるわ」

 ヨウルとルットゥは笑顔で言葉を交わしつつ、次の年に想いを馳せるのでした。

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