第17話 調査開始
「なぜ、調査を依頼しない方がいいか、教えていただけませんか?」
壮太の言葉に、古田は表情を変えずに答えた。
「理由は3つ。1つは、費用の面です。私共は、東京ですので、福島に出張し現地に滞在して調査を行うことになります。現地もタクシー移動など、実費+調査費は、かなりの金額になります。」
「お金ならなんとがなります。私も妻も保険屋です。傷害保険からの保険金が、かなりの額が入ります。いずれバス会社からの補償もあるでしょう。調査費にはそれを充てます。」
「分かりました。2つめは、もし奥様が、この神成なる男と不貞行為をしていたとしても直接的な証拠を得るのは難しいことです。神成は、事故のことを知っている、またはバスに乗っていたと推測するはずです。それでも、連絡を入れてこないことは、奥様との関係を切った、または、今は控えると考えられます。ですから、不貞行為の証拠を得るのは不可能でしょう。可能なのは、奥様の証言ですが、それも今は、難しい。」
「妻は、今は証言は難しいですが、回復の可能性もあります。やはりこの男と何のために会っていたのか、それは知りたいんです。もし、このままにしても、私はずっと妻を疑って夫婦生活を続けることになります。きっと、いつか妻を問い詰めてしまうきがするんです。証拠を取れなくても、関係があったかは知りたいです。」
「そうですか。では、3つ目の理由を申し上げます。」
古田は、目の前にあったコーヒーカップを取り上げ、1口飲んで続けた。
「これが、一番大きな理由です。私のこれまでの調査の経験からくる予感でしかないんですが、この調査をとおして明らかになることを深山さんが知った時に、後悔する可能性がある気がします。知らなければよかった、調べるんじゃなかったと。」
「どんなことが明らかになると思われているんですか?」
「それは、分かりません。ただ、奥様が事故にあってしまった。つまり実家へいくと嘘をついて福島へ向かったことは明らかなのに、その理由について口をつぐんでいること。そして、神成が連絡を断ったこと。これは、ただの色恋案件ではないことを暗示しています。」
そのとおりだった。壮太は、沈思黙考した。
「どうされますか」
「調査をお願いします。僕は、真実を知らぬまま生きることはしたくない。古田さんのおっしゃるとおり、僕が知りたくない事実が明らかになったとしても、知らぬふりをして家庭生活を送りたくないんです。」
古田は、表情を弛めた。
「分かりました。深山さん、あなたの覚悟を知りたかったんです。全力でやらせてもらいます。奥様のスマホをお借りできますか。その中のデータを調査をさせていただきます。得意にしている者がいます。」
そう言うと、古田は、奥の部屋に声を掛けた。
「ちょっといいか。挨拶を。」
女性が部屋に入ってきた。
「娘の、古田
古田は、言葉を続けた。
「深山さんの友人の、班目さんをご紹介いただけませんか。」
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