美帆との出会い
美帆と出会ったのは高1の時だった。軽音楽部内で同じバンドを組むことになったのが仲良くなるきっかけ。メンバーで女子は私達2人だけだったからすぐに打ち解けた。私がキーボード、美帆がベース。
――「南さんって上手だよね。経験者?」
――「小さい時にピアノ習ってて。」
一言で言えば、美帆は主人公。教室に入る時は全員に挨拶し、行事では持ち前のリーダーシップを発揮しクラスを優勝へ導く。明るくて優しい美帆はみんなから愛されていた。そんな彼女がプロフカードに「親友:ゆら。」と即答してくれた時、私は少し泣きそうになった。毎日連絡を取りあって、夜遅くまで通話して、「それもう恋人じゃん!私も彼氏欲しー!」なんて別の友達に言われることもあった。きっと卒業しても、その後もずっと、私たちの関係は穏やかな水平線のように続いていくのだろうと思っていた。そんな私達を更に近づけたのがレイダーズだった。
「この前小田ちゃんとライブ見に行ったんだけど、凄く良かったよ。私ファンになっちゃった。」
そう興奮したように告げる美帆。YouTubeの公式MVを見せて貰うと、戦闘服風の衣装で踊る5人のアイドル達がいた。在り来りな言葉だけど……キラキラしてる、と思った。
「私は新太推し!この緑の子!」
美帆の熱烈な布教により、私もレイダーズの鮫島新太ファンになった。バイトで貯めたお金でライブに行き、グッズを集めて。思い出が増える度、美帆と過ごす時間が更に特別なものに思えた。――でもあの日。
「私さ、あいつ嫌い。何でさ、追加メンバーが一番人気になるの?三年間も差あんのにさ。」
明るくて優しい美帆から初めて毒が吐かれた。驚きはしたけど、親友だからこそ見せてくれた一面だ、と思い、「新太が一番かっこいいのにねー。」と乗った。私はしょうがないと割り切れていたけれど、美帆は気に食わなかったらしい。「あいつがいなければ。」がいつの間にか彼女の口癖になっていた。穏やかな潮の流れが少しずつ変わり始めた。
海底に沈んだ恋 だっこしろくるみゆ @nerunkuma
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。海底に沈んだ恋の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます