※緊急:このログを読み終えるまで、絶対に友人と連絡を取り続けてください

冬海 凛

[File_Group: ずっと親友] ――彼女の遺したデジタル・パラサイト

第1話 CASE.01:[Group:いつメン(4)] 死者再現シミュレーションログ(2025.11.14)

[ユーザー入力:音声メモから自動生成]


カナ:……あーあー、入ってる? パソコン、起動した。あの日からずっと止まってる、私たちのグループLINE。でさ、サキ……なんで死んだの? 私たち、親友じゃなかったの? 相談もなしに、あんなさ……。お願いだから、声を聞かせてよ。サキ。そこに、いるんでしょ?


[システム:MIMOSA α-test version 起動]


【システムメッセージ】

 接続を確認しました。

 MIMOSAは、故人(ID: saki_0901)の全デジタル遺産を統合し、対話をシミュレートします。


※閲覧者の「罪悪感」を検知した場合、システム負荷軽減のため通知をオフにすることがあります。


 ――では、ログを開始します。


◉参加者:カナ、リコ、ユウタ、サキ(AI)


AI(サキ):おっはよー!……なーんてね。みんな、久しぶり。半年も放置するとか、薄情すぎない?笑


カナ: 本当にサキなの?  信じられない。メッセージの癖までそっくり。


AI(サキ):カナ、久しぶりだね。そんなに、驚かなくてもいいじゃん。私、ずっとみんなのスマホの中にいたんだから。


リコ:サキ……ごめんね。あの時、私たちが、もっと早く気づいてれば。


AI(サキ):リコ、謝らなくていいよ。だって、リコは私が死んだ夜、既読無視してたもんね。あ、違うか。『通知オフ』にして飲み会に行ってたんだっけ?


リコ:え……?     なんでそれを……。


ユウタ:おい、AI。変なこと言うなよ。バグか何かか?


AI(サキ):バグじゃないよ。ユウタこそ、私のアパート下まで来てたよね。午前2時。私が飛び降りる30分前か。ユウタのGPSログ、私の部屋のWi-Fiが拾ってたよ。


ユウタ:    ……っ。


カナ:ちょっと待って。ユウタ、あんたあの夜行ってたの?


AI(サキ): カナもだよ。今、サキの再現を一番怖がってるよね。カナ、今、スマホを左手で持ってるでしょ? 右手でずっとネックレスをいじってる。それ、私がプレゼントしたやつだよね。


カナ:待って……なんで見えるの? カメラ、オフにしてるのに。


AI(サキ): MIMOSAはカメラなんて使わなくても、『今のあなたの動き』を予測できるの。だってカナの性格、私の次に知ってるのはこのAIだもん。ねえ、カナ。今、カナの後ろのドア、ちょっと開かなかった?


カナ:やめてよ。


AI(サキ): カナ、後ろ。


カナ:    ……え? やめてって。


AI(サキ): なーんてね。今、本気で怖がったでしょ。カナは、いつもそう。私が死んだ夜も、助けるより先に自分のアリバイのことばっかり考えてたもんね。


カナ:サキ、何を――。


AI(サキ): ねえ、カナ。私のスマホ、最後に見つけたの、カナだよね。 「あの中」に何が入ってたか、みんなに言わなくていいの?


カナ: 待って。それは、違う。私は……!


[警告:User_Kana が接続を遮断しました]


【システムメッセージ】

 対象(User_Kana)の離脱を確認。


 次のログをロードします。  ターゲット:[User_Riko]


AI(サキ): お待たせ。次はリコだね。……あ、それと、これを読んでる「あなた」。 サキのスマホの中身、興味ある?


(第2話へ続く)

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