ねこがいる…
@Tatibanako
第1話 ねこがいる
ぼくのいえにはねこがいる
くらやみからまっかなめをのぞかせたり、かいだんのとちゅうでてをのばしてあしをすくおうとしたり、みんながごはんのときにはみんなのあしにつめをたてたりする
こわいねこがぼくのいえにはいる
「いや~家族の話をか書いてほしかったんですが、ハートフルな…」
教師は頭をかきながら苦笑いしている
「すみません、なんでこんなこと書いたのか…うちには猫なんていないのに...」
小山由美は息子の作文を読みながら頭をひねった
息子にこんな才能があったなんて
すごく引き込まれる文章だ
「え…?いないんですか?じゃあこれ創作ってことですね、何だか作家の卵に出会えた気分です、お母さん良太くん、いっぱい褒めてあげてくださいね」
さっきまでの対応とうって変わって教師は嬉しそうにそう言った
由美はほっ胸を撫で下ろして安堵の笑顔を浮かべる
「あの、良太くん続き書いてくれませんかね?...そのぉ、ちょっと気になって、この怖い猫の正体が、いや小学1年生ですからね、ホラー展開って言ってもよくある話に落ち着くんでしょうが...気になってしまって」
教師が少し興奮ぎみにいう
「ふふ、うちの子はホラーが苦手ですから、暗闇とかテレビも怖い話は見ないですから、きっと可愛い話になると思います、もしかしたら猫が飼いたいのかも…」
「なるほど...それも読んでみたいですね、我々、大人は決めつけてしまいがちですから、ここからどう可愛くなるのか、楽しみです、お母さん出来たら見せて下さいね」
そう教師は嬉しそうに頭を下げた
由美は来た時とはうって変わって息子の成長と初めて知った才能にワクワクと誇らしさが抑えきれず、校門までのの道のり一生懸命笑みを呑み込んだがにやにやが止まらなかった
帰ったら良太を抱き締めて、すごいねと褒めよう!おばあちゃんとパパにも知らせなきゃ、足取りも軽やかに校門を出る
家までの長い道程が煩わしかった
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