第5話 前夜

決断者は、眠っていなかった。


目を閉じると、

判断の順序が浮かぶ。


合理性。

安全性。

管理可能性。



「準備は?」


「完了しています。不可逆結合線、最終確認まで終了しました」


赤い糸は、

そう呼ばれている。



紫は、

選択肢として残されているだけだ。


待つ状態は、

管理できない。


それが、

積み上げてきた正しさだった。



地下映像が映る。


深層庭。

水路。

緑。


「G-CRは?」


「安定しています」



赤い線を見つめる。


解析の途中で残った、

最後のズレ。


それを、人類は引き延ばした。


線なら扱える。

通すか、通さないかで分けられる。


赤は決まる。

紫は、先送りだ。


「明日だな」


地下では、

水の音が変わっていなかった。

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