女性が武器化出来る世界で彼女達を鍛える事が出来る鍛冶師の中でも主人公は武器の性能を極限にまで引き上げる天才だった。極限にまで性能を引き出されたヒロインは好感度すら極限にまで引き出される、武器娘ハーレム

三流木青二斎無一門

第1話

人類が創造した万物には魂が宿る様に出来ている。

例えばボクたちが普段消耗する様な空き缶やペットボトル、それ以外であれば洗濯機やエアコン、大きいものだと自動車だって、時間が経過すれば被造物には魂が生成されるんだ。

けれど、それが決して良い方向へ進むとは限らないし、人類に役立つ為に作られた代物が、人類に対して友好的であるなんて言う思い違いは、それこそ人類が考え得る都合の良い事だろう。


ボクが言いたい事は、悪意と憎悪を以て、魂が宿る万物は人を襲う化物であると言う事だ。

それら、無機物が生命の様に活動し始める事を、ボクらはゴーレムと呼んだ。


そして今ボクは、破壊活動を行っている。

先述の通りであれば、人類が創造した建築物もまた例外では無い。

赤々しい旧東京タワーは、四本脚で町中を移動しながら周囲の建物を破壊していた。


内部はゴーレムに変化した事で霊的支障が発生しており異界化している。

有体に言えばダンジョン、と呼ばれるのだろうけど、ゴーレムと言う名称にあやかって、此処はバベル、と言うべきだろう。

旧東京タワーも、バベルと同じ塔である事だしね。


「さてはて……頂上までもう少し、かな」


ボクはバイオリンケースを携えながら上を見上げる。

赤色の鉄柱が内部で無尽蔵に生成されていて、壁から生えいるものがあれば、中には天井から鉄柱が落ちる事もある。


そして、ボクの目の前に落ちた鉄柱もまた、ゴーレムとしての意識を宿していて、敵対生物を発見すると共に、複数の鉄柱が融合し、鋼の肉体をしたゴーレムが生成された。


「TOOOOKYOOOOOOッ」


荒々しい声色と共に、赤色のツノをボクの方に向けながら疾走を始める。

この鉄柱の足場では、一直線に向かわれると逃げ場など無いが……逃げるつもりは毛頭ない。

ボクはバイオリンケースの錠を解くと共に中から道具を取り出した。

それは、複数の刃物を一括りにした、大型の十徳ナイフだった。

それを構えた状態で、ボクは複数の刃物を展開しながら告げる。


「キミの痛い所を衝ける得物は……コレかな」


そう言いながら、ボクは十徳ナイフの中からコルク抜き用のスクリュータイプを展開した。





数分後である。

ボクはゴーレムを破壊し、壁から突き出る鉄骨を渡りながら漸く頂上に達すると、其処には既に、複数のグループが居た。


「ひ、ぃいッ!!」


その中で、男性が叫び声を漏らしていた。

彼の手には有刺鉄線が強く握られているが、目の前に存在するゴーレムに気圧されて手を離した様子だった。

それに従い、彼が所有していた有刺鉄線が眩い光を発すると共に、人間の姿へと変化していく。


「ちょ、な、なんで手を離すのよッ!!」


その姿を見て、ボクは見覚えのある顔だと思った。

そう、確か名前は……ロザリオ、ロザリオ=インタングルメンツ。

ボクが通う学園の中で女王様の様に他の男子生徒達を下僕の様に扱う女性だと記憶している。

因みに彼女の体型は寸胴の幼女体型であり、黄金に輝く髪の先端は旋回するかの様に巻かれている。

そして、先程、彼女を手放した男性こそ、名前が獅子斑ししむらオウガくん、だった筈だ。

ロザリオ=インタングルメンツさんの専用パートナーであり、彼女が女王様ならば、彼は王様であるかの様に周囲の人間に威張り散らかしている。

特に悪い印象しか持たない人だったのだが、今ではその場に腰を突いて驚愕していた。


「む、無理だッ!!あんな化物、倒せる訳がねぇ!!」


そう叫びながら、獅子斑オウガくんがその場から逃げ出した。

周囲には彼と共に一緒にやって来たであろう、取り巻きの人達も居たけれど、彼の逃走と共にその場から逃げ出した。

その場に残されたのは、一人だけであり、ロザリオ=インタングルメンツさん、ただ一人だった。

彼女は唖然とした表情で、逃げ去る彼らの後ろ姿を見詰め続けていた。

声すら出す事が無く、呆然としていた彼女だったが、背後からやってくるゴーレムの姿に勘付いて振り向くと、涙目を浮かべて、自分も同じ様に逃走しようとした。


「あ、足ッ、がッ……ひ、ッ」


自分一人では倒せない。

そう認識した為か、彼女の表情には恐怖しか無かった。

今まで、誰かと一緒に戦って来たのだろうけど、その誰かが何処にも居ない。

そうなれば、一人で戦う事など出来はしないのだ。

殆どの彼女達は、パートナーと一緒に戦う事が前提である。


創造妃アーマード・イヴ……彼女達もまた、ある一人の人物から創造された被造物であり、武器として肉体を変化させる力を持つのだ。


そして、彼ら、もとい、ボクは、彼女達を鍛えて強くする為に存在する、神代鍛冶師トバルカインと呼ばれる武器職人。


そして、如何に彼女と言う性格が悪い人物であろうとも。

神代鍛冶師として存在するボクは、彼女を見捨てる事は出来なかった。


「やあ、一人、取り残された状況で、失礼するよ」


そう、舞台の中心へとやってきたボクに対して……ロザリオ=インタングルメンツさんは目を大きく開いて輝かしい表情を浮かべながら。


「ちょっと愚図!!何しているのよ、早く助けなさい!!」


そう命令してきた。

……助ける気を無くすなぁ。


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