スティーブン先生の最低な授業ー外伝ー
イミハ
匿名係と、最低な面会
刑務所。
面会室。
アクリル板越しに、
スティーブンは座っていた。
囚人服。
短くなった髪。
だが、
目だけは変わらない。
「……遅ぇぞ」
その向かいに座るのは、
サキョウとカブヌキ。
サキョウは、
眼鏡を直す。
「お前が先に捕まっただけだ」
カブヌキ「約束通りだろ」
「卒業まで待った」
スティーブン「律儀かよ」
沈黙。
カブヌキが、
封筒を差し出す。
「……これ」
中身は、
手紙。
何通も。
差出人。
3年G組
スティーブンは、
開かない。
「読むな」
カブヌキ「は?」
「読んだら」
「俺が楽になる」
サキョウは、
小さく笑った。
「……相変わらずだな」
サキョウ「校長は退職した」
スティーブン「知ってる」
「俺が辞めた日に決めてた顔だ」
カブヌキ「……学校は?」
「立て直した」
「奇跡的にな」
スティーブン「奇跡じゃねえ」
「責任の後始末だ」
サキョウは、
一瞬だけ
真顔になる。
「……エミリーは」
スティーブンの指が、
わずかに止まる。
「帰った」
「兄の墓の前で」
「“先生は
まだ殴られてる”って
笑ってた」
カブヌキ「……強いな」
「妹だからな」
面会終了の
ブザー。
時間だ。
スティーブンは、
立ち上がる。
サキョウが、
最後に言う。
「……後悔してるか」
スティーブンは、
振り返らない。
「後悔してる」
即答。
「でも」
「選び直す気は
ねえ」
鉄の扉が
閉まる。
数日後。
別の街。
夜の公園。
フードを被った
青年が、
不良に囲まれている。
不良A「金出せ」
青年は、
逃げない。
「……選べ」
不良B「は?」
青年は、
震える声で言う。
「殴るな」
「逃げるな」
「……考えろ」
沈黙。
不良たちは、
舌打ちして去る。
青年は、
その場に座り込む。
「……怖ぇ」
ポケットから
紙切れが落ちる。
そこに書いてある言葉。
最低でもいい
立て
刑務所。
夜。
スティーブンは、
ベッドで天井を見ている。
隣の囚人が
聞く。
「……お前」
「教師だったんだろ」
スティーブン「だった」
「今は?」
スティーブンは、
目を閉じて言う。
「……知らねえ」
「でも」
「まだ
教えてる」
消灯。
闇。
だが。
最低な教師の授業は、
どこかで
まだ続いていた。
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