美醜踊り子
光雨
美醜踊り子
私もあなたも長く生きる必要はないわ
誰もいない街
靡いていたオーロラ
誰かの為に踊るのは止めにしましょう
遠くの瀬音が
目の前の潮騒に変わるまで
せめて手だけは繋いで歩きましょう
目立つのは光っているものばかり
暗闇にも光はあるというのに
そんなことは知らないみたいに
ものを見る世界に
美しさを語る力はもうどこにもない
私もあなたも脆いくせに辛抱強い
傷が目立つこの姿はあまり誇れるものじゃない
それでも捨てたものじゃない
私たちの目には
風が色付いて見える
氷の色が美しく見える
本当は、それだけでよかった
夜に沈む誰も居ない街
飾られたオーロラは
もう綺麗であることに疲れていた
泥に塗れた写真を拾う
こんな綺麗な人でありたかったのは
私だけじゃない
繋ぐ手の瞳はまだ踊っている
あなたの涙腺を噛む
やっと溢れていく
この世界で唯一の雨
悲劇さえ美しさになるこの世界
誰かに別れを告げた人に
残された写真で弧を描く頬は無い
まるで太陽に晒される地球のように
私は他人の目を遮断できなかった
瞬きの長さ、小指の行き先
過ぎゆく自分の横顔
まるで私が他人に見せる為に生きているようで
他人は偉そうに私を評価した
私ものその毒の風潮の一部
みなが自分を愛してもらうべく
アピールする世の中は
まるで孤独を絵に描いたよう
誰も一色分の向こう側で笑っていない
何をしても美しいか否か
それが大きな武器で不文律
美しいという言葉に醜さを覚え始めたのは
大人になりゆく頃だった
美しさでしかものを語れない私たちに
美しさを語ることはできない
握る手を思い出す
私は幸せにも
独りじゃない、今は。
梅雨のあなたと
海まで歩いている
砂浜で最後に踊りましょう
美しさが2人の間で閉じるもう誰も来ない砂浜で
私たちの跡を残すために
もう気にしなくて良いと思えたような心をもって
そんな風にずっと
踊ってみたかった
美醜踊り子 光雨 @HikaRi_aMe
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