チュートリアル終わったと思ってたら魔王を倒してたんだけど、それで飽きてゲーム辞めたらその世界の魔王になってたので最強になろうと思います

@Rt_ag

プロローグ

「よし、これで終わりっと」


辺りが少し明るくなりつつある朝5時。

横山湊は99作目のゲームを攻略し終えた。


「まあストーリーは良かったけど作画がなあ」


別にプロゲーマーとか評論家とかそんなんじゃないんだけど、99作ともなってくると謎に評価をつけてしまうお年頃。


「じゃあ記念すべき100作目を買いに行くかー」


ちょうど今日は大学の講義がないのでパパっと買って攻略して余韻にたくさん浸りたいな。


軽く顔を洗ってサンダルを履き、ジャージ姿で外に出る。


「うっ...寒」


今は真冬だ。彼はバカである。


寒さにも負けない強い立ち漕ぎで、いつも利用しているゲームカセット販売店に到着した。


「ああ...あったけえ」


珍しい24時間営業の店なんだけど、暖房はご健在のようでありがたい限り。


やっているゲームは様々だが、今回はRPGをやる事にした。


色々な棚を漁っているといい感じのを一つ見つける。


「最強魔王...か」


中高生が好きそうな名前を組み合わせたようなゲームを発見した。


「まあたまにはいいか」


記念すべき100作目の攻略に選ばれたのは厨二病こじらせてそうなゲームだったようだ。



爆速で家に帰り、休憩せずにすぐPCを起動する。


禍々しいBGMと壮大な背景が画面に表示される。


「なんだかすごいな...」


「はじめから」をクリックしてゲームを始める


名前を設定して、操作を学んで、軽い戦闘に移る。


ある程度進んで行ったところで、最後のチュートリアルが表示される。


「己の力で前の者を倒せ」


今までの知識を活かして倒せ的なあれだろう。


ブラインドタッチは出来るのである程度操作を覚えればこんなのは朝飯前だ。


軽い身のこなしと華麗な剣さばきを繰り出してあっさり倒した。


「よし、じゃあ本編やってくかー」


そうやって「次へ」のボタンをタップすると、




「おめでとうございます。ゲームクリアです」



でかでかと表示されるℂ𝕠𝕟𝕘𝕣𝕒𝕥𝕦𝕝𝕒𝕥𝕚𝕠𝕟𝕤の文字


「は?クソゲーか?」



どうやらチュートリアルをクリアしたと思っていたものが、最終ボスを倒していたらしい。



「え、何このヌルゲーwwおもんな」

「というか魔王弱すぎん?」



いつもお世話になっているゲーム攻略wikiに、写真と共にそうやって載せる。



「記念すべき100作目がこれかー」


大きな欠伸を一つ。昨日からまだ一睡もしていない。


「...寝よ」




そんな感じで記念すべき100作目をクリアしてめでたしめでたしのはずだったんだけどさ。


今、目の前に広がっている手下達が跪いているこの状況はどう説明してくれるのかな、、?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

チュートリアル終わったと思ってたら魔王を倒してたんだけど、それで飽きてゲーム辞めたらその世界の魔王になってたので最強になろうと思います @Rt_ag

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画