エピローグ「悪役令嬢じゃない、私たちの物語」
女王戴冠式から、数年の月日が流れた。
アリシアとクロードが設立した「大陸連合」は見事に機能し、大陸にはかつてないほどの平和と繁栄がもたらされていた。
ヴァンデルーク王国の王城にある、陽当たりの良い庭園。
アリシアは、隣に座るクロードの肩にそっと頭をもたせかけた。彼女のお腹は、新しい命の誕生が近いことを示すようにふっくらと膨らんでいる。
「まさか、私が母親になるなんてね」
「君なら、きっと良い母親になる」
クロードは、優しく彼女の髪をすいた。
彼らの足元では、二人の子供たちが元気に走り回っている。レヴァント皇国の次期皇帝となる王子と、ヴァンデルーク王国の次期女王となる王女だ。二人は、両親からそれぞれの国の未来を託されていた。
「時々、思い出すの。悪役令嬢だって、言われていた頃のことを」
アリシアが、懐かしむように空を見上げて言った。
「あの頃の私に教えてあげたいわ。『あなたの未来は、そんなに悪くないですよ』って」
「そうだな。そして、あの頃の私を力一杯殴ってやりたいものだ」
クロードが真顔で言うので、アリシアは思わず笑ってしまった。
「ねえ、クロード」
「なんだ?」
「私は、もう悪役令嬢じゃないわ。誰かの筋書きの上を歩く登場人物じゃない。私は、アリシア・ヴァンデルーク。自分の力で道を切り開き、愛する人々と国を守るこの物語の主人公よ」
彼女はそう言うと、立ち上がってクロードに手を差し伸べた。
クロードは、その手を強く握り返す。
「ああ。そして、私は君の物語のヒーローになれているだろうか」
「どうかしら。でも、最高のパートナーであることは保証してあげる」
アリシアは、太陽のように笑った。
「じゃあ、一つ約束しよう」と、クロードは彼女の手を引いて唇に優しいキスを落とした。
「次は、離婚しないようにお互い努力しよう」
「当たり前でしょう?」
二人は顔を見合わせて、声を上げて笑った。
追放から始まった物語は、幾多の困難を乗り越え最高のハッピーエンドを迎えた。
いや、彼らの物語は、まだ始まったばかり。
愛する家族と、大切な民と共にこれからもずっと、続いていくのだ。
「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました 藤宮かすみ @hujimiya_kasumi
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