偽物の女

自分の顔が嫌いだった。

周りの友達は皆、可愛くて、綺麗で、当たり前のように愛されていたのに、私は外見に恵まれなかった。


親を恨んだこともある。

欲しかった。ただそれだけだった。

美しい顔が。

言われたくなかった、悪口を。


整形してから、人並みに可愛くなれた。

それが嬉しかった。


気づけば顔面はフルカスタマイズしていた。

でも後悔はなかった。

それで良かった。

私はもう、不細工じゃない。


「きーめたっ!」


唐突に、女の声が聞こえた。


振り返ろうとした――その瞬間、視界が暗転した。


冷たい感触で目が覚めた。

コンクリートだけの、無機質な部屋。


私は、檻の中にいた。


とっさに顔を触る。

額、頬、鼻。


───大丈夫。鼻のシリコンは無事。


胸を撫で下ろした、その時。


少し離れた場所に、女が座っているのに気づいた。


整形をしている感じはない。

整いすぎているほど、自然な顔立ち。

その存在自体が、私のコンプレックスを静かに刺激した。


「おはよう」


優しい声。

綺麗に笑う、知らない女。


「あなたは誰?ここはどこ?」


周囲を見渡す。

壁も床も天井も、ただのコンクリート。

窓はない。

女の後ろに、ドアがひとつあるだけ。


「誰でもないよー。

付けたかったら、名前つけていいよ?」


女は笑いながら、そう言った。


目的が分からない。

不気味だった。


「私、帰りたいんだけど。

檻から出してくれない?」


叫んでも無駄だと直感した。

感情を抑え、できるだけ冷静に言葉を選ぶ。


女は、少し首を傾げてから、楽しそうに微笑んだ。


「うん。

その前に――遊ぼ?」

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