もしも、生まれ変われるならば⋯⋯

朱桜由樹

第1話

血に濡れた王城を、ルイスは歩く。

途中、ルイスを見つけた兵士が立ち向かうも、指一本触れることもなく倒れる。

鉄の匂いが充満した。

ルイスが目指すのは玉座の間だ。

恐らく、そこにはとある人物が待ち構えているのだろうと確信しながら__。


「__ここから先は行かせない」

(あぁ、やっぱり__)


想定通りの展開にため息をつく。


「やぁ、レオ。今晩は新月だから星がよく見えて綺麗だよ」


いつものように、愛称で呼びかける。


「⋯⋯戦火のせいでよく見えん」


窓の外を見る。

レオンハルトのいう通り、よく見えていたと思った星空は燃え盛る炎にかき消されていた。


「⋯⋯途中、私の部下がいたと思うのだが」

「あぁ、彼らの相手は僕の部下がしているよ」

「そうか⋯⋯」


硬い表情に少しの安堵が混じったのをルイスは見逃さなかった。


「騎士団長ともなると、可愛い部下の心配を出来なくて大変だね」

「いや、そんな心配はしていない。あの二人は強いからな。簡単には負けん」


レオンハルトは不敵に笑って見せる。


「お前は部下の心配をしなくていいのか?魔道士団の団長よ」

「心優しい騎士様は敵の部下の心配もしてくれるのかな?嬉しいね。お生憎様、彼らは僕が気にしなくても平気さ」


遠くから、鬨の声がかすかに聞こえてくる。


「⋯⋯無駄口を叩くのも、ここまでにしよう」


レオンハルトは腰に帯びた剣を抜く。


「君とは仲良くなれそうだと思っていたのに⋯⋯残念だ」


レオンハルトは言葉を紡ごうと口を開くも、一度閉じる。

数瞬、間を置いたあと、言葉を選びながら話す。


「⋯⋯同盟が解消されたからな。もともと、私の国と貴殿の国では折り合いが悪かったのだから、遅かれ早かれ戦争になっていただろう」


元来感情表現の豊かな彼の胸中を想像し、胸が締め付けられる。


「__君さえ良ければ、こちらに寝返らないかい?僕が後ろ盾になってあげるし、君みたいな人材は歓迎だから、不可能ではないと思うのだけど?」


ルイスの提案に目を瞬かせる。


「__それができたら、どんなに楽か⋯⋯」


場違いにも、ふっ、と口元を緩ませる。


「オレは、この国に大切な、守りたいものがたくさんあるんだ⋯⋯」


目を閉じる。

次の瞬間には、迷いの消えた瞳がルイスを捉える。


「だから、すまない」

「そうかい⋯⋯」


想定のうちの返答だった。


「こんな形で君と敵対することになるなんてね⋯⋯」


二人の間の緊張が高まる。

臨戦態勢に入る。

友になれなかった敵国の騎士を見据える。


「__もしも、来世があるのなら、生まれ変われるならば、その時は友達になりたいね」

「__同感だ」


戦いの火蓋が切られた。

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