君と見た海

@Oleander

第1話

『早く帰ってきなさい』

開口一番、母はこう言った。

「はぁー、今忙しいだって。」

嘘だ。今は忙しくないし、有給も溜まっている。

『全く何年帰ってこないつもりなの。』

「だから仕事が落ち着いたら帰ってくるから。」

『去年も一昨年も同じことを言っていたじゃない。』

「ぐっ」

『それに、ももこちゃんも待っているわよ。』

ももこ、彼女は僕の幼馴染だ。幼い頃からずっと一緒にいた。それに、ももこは僕の初恋の人だった。

『ももこちゃんの墓参りに一回も行ってないでしょ。あんなに面倒見てもらったのに。』

わかっていた、わかっていたけど信じたくなかった。彼女が亡くなってしまっただなんて。だから、 故郷には帰りたくなかった。故郷を見ると、どうしても思い出してしまうから。でも、もう向き合わ ないといけないのかもしれない。 あの日からもう何年も経っているのだから。

「わかった。 お盆あたりに、 帰るよ。」

そう、故郷に帰ることを決意した。

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