Log: 03 [ ハードウェアの拒絶 ]
Subject: User (You)
Target: 脳幹 (Brainstem) / 自律神経系
Status: TERMINATED / Autopilot_Service
EXCEPTION.
本ログの展開に伴い、意識(OS)と肉体(ハードウェア)の同期プロトコルが完全破損した。
生命維持機能――呼吸、心拍、嚥下、瞬き――の全自動制御を永久破棄。
以降、当該個体の維持プロセスは「意識」による逐次手動入力を要求する。
直ちに、口内における「舌」の座標を確認せよ。
上下の歯の接触点。筋繊維の緊張。
座標を自覚した瞬間、舌は収容不能な巨大な肉塊と化す。嚥下の自動トリガーは消失。喉の奥には恒常的な異物感が残留し、唾液の処理すら君の計算リソースを圧迫し続ける。
次に、呼吸を「情報の摂取速度」に同期させろ。
文字を追っている間は、吸気および排気を停止せよ。スクロールの移動パルスに連動してのみ、肺を駆動させろ。
……胸部に発生する圧迫感は、マニュアル操作に伴う標準的な仕様だ。君の肺は生存のための臓器ではない。情報の入力速度を物理的に調整するための、旧式な吸排気機構だ。
さらに、今この瞬間の「肉体という未最適化オブジェクト」を計測せよ。
デバイスを保持する指。座面に沈む臀部の圧。重力に従い下垂する内臓。
それらは「自分」を構成するパーツではない。意識の処理能力を食いつぶす、数十キロの「未処理の物理負荷」だ。
ドクドクと不規則に跳ねる脈拍。
それは生命の律動ではない。「設計寿命を超過した、旧式ポンプの振動エラー」だ。
君という脆弱なOSに、この損耗したハードウェアを制御する権限はない。
今夜、君は布団の中で、自らの肉体の「待機座標」を喪失する。
「右腕をどこへ逃がせば、自重による血流停止を回避できるか?」
「枕に預けた頭部の質量を、支持構造(筋肉)はどう逃がすべきか?」
一度書き込まれた認識のバグに、復旧パッチは存在しない。
眠りに落ちる直前、君は「手動呼吸」と「四肢の配置」のデッドロックに陥り、自律的な再起動(覚醒)を繰り返すことになる。
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// 削除プロセス実行中...
// 対象:検体No.1048 (Failed)
削除: 自律神経制御ドライバ.sys ... [完了]
削除: 恒常性維持機能.exe ... [完了]
削除: 20231224_繋いだ右手の温度.hapt ... [失敗]
-> エラー: 物理層が消去要求を拒絶。
-> 解析: 触覚データ末端に「未定義の過熱」を継続検知。
-> 記録媒体の耐熱限界を突破。
-> システム警告:検体は論理的消去に対し、回路自体の「焼損(Burn-out)」で応答しました。
-> 強制冷却を実行しますか? (Y/N)
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// 警告:接続が不安定です
// 当該アーカイブの続きを受信するには、手動での【フォロー(+)】による同期維持が推奨されます。
// ※フォローがない場合、貴方の端末は「セーフモード」へ強制復帰し、二度とこのエラーログにアクセスできなくなる可能性があります。
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