【お正月企画!!】今年こそは!早起きする!と思ったら10年前でした。

月乃 レイ

第3話 おせちと福笑い


私はトイレから出た私を追いかけた。

確か、次はおせちを食べたはず。その中で食べたあの黒豆と伊達巻き。あれだけは食べていけない!!


ー9歳頃ー


「これ美味しそう!」

そう言って黒豆を頬張った私。確かに、最初は美味しかった。甘くて、豆っぽくって。

ただ、美味しすぎて一粒噛まずに飲み込んだ。

そう。黒豆がそのまま鼻からでた。汚いったらありゃしない。ただそれ以前に、想像を絶する痛みだったのを覚えている。


そして伊達巻き。

ケーキだと思って口に頬張った。ただし、私は重度のケーキ好き。あまりに食べすぎて、後から吐くのを知らずにバクバク食べる。


ーー


これはやばい。これをどう食い止めるか。

まず、母はまだおせちの準備をしている。まだ間に合うはずだ!!


私はまず伊達巻きの皿へと向かった。落とす?いや、罰当たりでもったいない。

持とうとしてもすり抜けるだけ。


手をかざしてみると、伊達巻きは浮いた。どうやら、私は超能力者になったみたい。でもこれなら!!


私は皿ごと伊達巻きを持ち上げ、そのまま隣の家の

斉藤さんのところのテーブルに伊達巻きを置いた。


ごめん、ケーキ好きの9歳の私。

ごめん、斉藤さん。



…よし次は黒豆を阻止なければ!

私はすぐに家へ戻り、もうすでに黒豆を食べようとしている私を見る。

これはやばいっ!!

私は9歳の私の口の前に手をかざした。すると、黒豆はお皿に戻された。


「は?!え?!」


9歳の私は驚く。そりゃそうだ自分で豆を戻していないのにお皿に戻されて。


「きみわるぅい」


そう冷めた目を黒豆に向け、かまぼこへと箸を向けた。まさにmission complete.


ーーーー


さて、おせちの最悪な出来事は終わり…次は家族でする福笑いの時間だ。

これにも最悪な過去がある。

そう、成功しすぎて兄と喧嘩したのだ。


ー9歳頃ー


「完璧!!!私すごい!」


このゲームはお金をかけたゲームだった。

兄弟で一番上手くできた方がお年玉の額を上げられる。別に私はズルもしなかった。

だが学校でもやっていたからか、上手く、完璧にできてしまったのだ。

そこから兄と大喧嘩。そもそも兄の完成度は紙にも収まってなかった。勝ち目はないのに、「ズルだ!」と言われてしまい、大喧嘩し、結局お年玉はどちらも額を上げられなかった。


ーー


つまり、私の福笑いを少し邪魔すればいいということ!自分的には少し不屈だが、お年玉のためにしなければならない。


そう考えていると、兄が福笑いを始めた。一個目の眉毛の部分から紙に乗っけられていない。

あっというまに兄のばんは終わり、目隠しを外して大笑いしていた。


そして私が目隠しをつける。私は構えた。そして眉毛を手に取り、髪に乗っけようとするが私が行く手を難み、少し眉毛の位置はズレた。

他のものにもそうする。


目隠しを外した私は笑う。

「えー?!あと少しで完璧なのに!」


そう悔しがり、母は


「惜しかったねー!!」


と笑う。父も兄も「上手だなー!」と笑う。


ああ、まじでよかった。

幸い、このあとには悪いことはもう起きない。

ほっと息をつき、私は部屋へ戻った。


「いやー、一件落着!」

そう言いながらベッドへ飛び込む。布団はまたもやすり抜けた。


ただし私は気づいた。




あれ、現世ってどうやって帰んの…?!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る