赤い口紅
第1話
1限がないので、食堂のテーブルでスマホをいじっていると彼女が息を切らしながら目の前に座った。いつもと違ってメイクをしていない。
「今日は寝坊?」
「うん。1限に授業あると思ってメイクしないで来ちゃったの」
彼女はそう言うと、僕の目の前でメイクを始めた。まずは化粧下地を顔全体に塗った。そしてパウダーのファンデーションを付け、アイシャドウ、マスカラ、チークの順に化粧をしていった。
「口紅は最後に付けるんだ」
「うん」
「いつも付けてる口紅、赤くて綺麗だよね。何使ってるの?」
「なんだと思う?」と彼女は怪しげに微笑んだ。
そしてメイクポーチからカッターを取り出すと、手首を切った。そして、そこから滲み出た血を人差し指に付けると、唇に塗り始めた。
唇が血で真っ赤に染まると、彼女は僕に向かってこう言った。
「血みたいで綺麗でしょ?」
彼女のこのセリフを聞いて確信した。これは夢だ。こんな幻想小説みたいなこと現実に起こるわけない。僕は彼女の傷がある方の手を取ると、その傷口を舐めた。すると、なぜか血の味がした。
赤い口紅 @hanashiro_himeka
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