魔法少女のオトモ取調室
青柳 誓
魔法少女のオトモ取調室
壁には鉄製の扉と、鉄格子のはめられた小さな窓が一つだけ。
部屋の中央にはシンプルな木製の机と木製の椅子が置かれており、三人の男女が横並びで座っていた。
一人は白金の緩くウェーブした腰まで伸びたふわふわの髪の少女だ。まあるいルビーの様な赤い瞳とチャームポイントと自称する八重歯の可愛い女の子。
彼女の名前はルーナ。
ここ妖精の国の防衛軍、対ディアモン魔法少女課に所属するオトモ妖精であった。
隣に座る二人の男、黒髪の頭から伸びた木の枝の様なツノと、縦長の瞳孔のサファイアブルーの瞳が特徴的な男、ディアム。
それから煌めく金の髪の頭から同じ毛色の猫耳が生えた真面目そうな青年、ノアも同じくオトモ妖精であった。
「この椅子硬いのぉ、もっと良い椅子ないんか?」
「それな、背中いてぇ」
「そんな力一杯寄りかからなければ良いのでは……?背もたれ折れますよ」
「眠いんだよ……、昨日も遅くまでオシゴトさせられてたからよぉ」
「偉いのぉ、ルーナちゃんが褒めてやろうか」
「いらねぇ」
「ルーナさんツノとか耳とか触っちゃダメですよ、セクハラです」
鉄製の扉がガチャンとやたら威圧的な音を出して開いた。
「うるさいですよ三兄妹」
入ってきたのは黒のバインダーを持った女性だった。
黒髪で前髪はかきあげていて、ストレートロングの髪を後ろにさらりと流したバリキャリ女上司みたいな美人。
「兄弟じゃねーから」
「流石に無理あります」
「儂が妹じゃろ?こんなピチピチで可愛いんじゃ、なんでも許したくなるじゃろ」
「ほら調子乗った」
「ごめんわかった、兄妹は無し、それで三馬鹿どもはどうして今日ここに呼ばれたか分かりますか?」
よく喋る三人に頭が痛そうにしながら、クッションがちゃんとついている椅子に座った彼女は、防衛軍対ディアモン対策部に所属しているエリー。
魔法少女課への聞き取り調査を命じられ今回やってきたのだ。
「あなた達が妖精の国を救うために連れてきた三人の魔法少女の件でお話があります」
妖精の国は今、魔王が生み出したディアブルモンスター(略してディアモン)たちの脅威に晒されていた。実際に被害も出ており、どうにか対抗できないかと出された案が魔法少女作戦だったのだ。
ディアモンが出す瘴気に耐性のない妖精たちと違って、ニンゲンたちは瘴気耐性が高い。
協力してくれるニンゲンをニンゲン界から勧誘し、ディアモン、ひいては魔王を討伐しようという目論見だ。
選抜された十人もの魔法少女のオトモを担当する妖精がニンゲン界に解き放たれた。彼らは、続々と少女を連れ帰ってきていたが、この三人は三ヶ月もの間しっかりニンゲン界をエンジョイしてやっと魔法少女を連れ帰ってきた。
ここまではまあ良い。
そう簡単に魔法少女適性がある子も見つからない時もある。
問題はそこではなかった。
「なんだよ優秀だろ」
「……、まあ、他のオトモ妖精たちが連れてきた魔法少女よりスコアは断然高いです。その点だけで言えば優秀でしょう」
エリーは手元の書類を見ながらため息を吐いた。
「だろ、じゃあ早く帰らしてくれよ」
「え、じゃあ俺も帰ります」
「儂お腹すいた、なんかないんか?」
「あー、もー、静かにしてください。今から一人ずつ確認します」
えーこわーい、とかわい子ぶるルーナの前に書類を差し出す。彼女が連れてきた魔法少女の基本情報だ。
「えー、まずルーナさん。あなたが連れてきた花染もかさん、21歳成人女性」
「うむ、そうじゃ」
「少女を連れてきて欲しかったんですねー、私たちは」
魔法少女作戦と銘打った時点で変身時の衣装はそれらしいフリフリの可愛い衣装になっている。
「なんじゃ、なにがいかん?変身したモカはとっても可愛いじゃろ?」
「ええまあ彼女美人さんですからね。けれどフリフリの魔法少女衣装を着て、顔を赤くして身を縮こませる彼女に対して別種のファンができるので困っています。ここ妖精の国はもっとキラキラふわふわした国なので新たな概念を持ち込まないでください」
「かるちゃーしょっくってやつじゃな」
「覚えたての言葉を使わない」
ルーナが連れてきたニンゲン、花染もか。
彼女は大学三年生で、カフェでアルバイトをしていて、たまにサークルに顔出して、今度のテストに向けて勉強しているような普通の女性だった。
そんな彼女は雨の日にルーナに出会ってしまった。
ルーナの報告書に書いてあったのはこうだ。
ーーー
妖精の国からニンゲン界へ降り立ち十七日目。
魔法少女適性のあるニンゲンに遭遇。
名は花染もか。21歳女性。
試験用のディアモン人形を用いて私が襲われているフリをすると躊躇いなく助けようとする善性、これは魔法少女に十分なり得ると判断し魔法少女への勧誘を開始する。
ーーー
実際はこう。
今日は雨だった。
一日中雨。だけどそれ以外はいつもと変わらない一日になる予定だった。
大学に行って、カフェでアルバイトをして、家に帰ってお風呂に入って、ちょっと勉強して、ベッドでスマホを眺めて眠りにつく。
今はその家に帰るの部分。
「儂が見えるのか?」
「えっ……」
モカは雨の中傘もささずに一人立つ少女に声をかけられ、恐怖を隠しきれない声を出した。
だって人通りの少ない夜道のポツポツとある街灯の一つの下でぴくりとも動かずに立っているのだ。
声をかけるかかけないか迷ったまま、でも家に帰る道は少女がいる方向で今更引き返せない。
速度を落としゆっくりと歩いていたモカへ、突然顔を上げた少女が声をかけてきたのだ。
「儂が見えるんじゃな?」
「ひぇ……」
正気の無い真白い顔がこちらを見ている。
少女はどこから出したのかいつの間にか右手に黒い人形を持っていた。
恐怖に固まるモカをそのままに、少女は人形の首についたリボンを解いた。その瞬間人形がブルブルと震え出しあっという間に少女より大きくなって動き出した。
「キャー、誰か助けてー」
少女は突然可愛らしい声でそう言ってモカに向かって駆け出した。
モカは逃げたかったが、少女がさっきのようにに作り物みたいな表情ではなく、普通に可愛らしい少女の顔をしていたので躊躇ってしまったのだ。
「そこのお姉さん!助けてくれ!」
「えっ、今自分で呼び出したみたいな、えっ」
「これはまずいのぉ、可愛い儂が攫われてしまう。そうじゃ!お主には魔法少女の才能がある!変身してあやつを倒すんじゃ!」
「え、えっ、なに」
「このステッキを持って『フェアリーチェンジ!』と叫ぶんじゃ!」
「え、え」
「急げ!儂が攫われてしまう!」
「ふぇ、フェアリー、チェンジ!」
そうしてモカは可愛らしいピンクと白を基調としたフリフリミニスカートのツインテ魔法少女になったのだった。
ちなみにオトモ妖精はニンゲンにも普通に見える。
前半のルーナの幽霊ムーブは完全に恐怖で思考能力を制限する目的でやったのでとても悪質である。
「あの子は良い子じゃろ?可愛くて優しくて強い、100点の魔法少女じゃ」
「ええ、まぁはい……、なんかアイドルみたいになってるのでそれだけやめてもらえれば」
「なぜじゃ?????」
「いや……」
「防衛軍の指揮も上がっとるじゃろ、問題はない」
ルーナはモカのアイドル魔法少女化を止めるつもりは毛頭ない様だ。
心の中でエリーはモカに謝った。
なんか、最近隊の人たちに握手を求められるんですけど、何でですかね……?とモカに相談を受けていたから。
これからもファンサをしてあげてください。
「何やってんだ……」
椅子にだらりと腰掛けて呆れた様に呟くディアムにエリーは鋭い目を向けた。
「ディアムさんは男連れてきただろうが、しかも25歳社会人男性」
ディアムの前にも書類を出す。
「俺らが魔法少女っつったら誰でも魔法少女になれんだよ」
「オトモの拡大解釈やめろ」
「今のご時世、男はダメとか女はダメとかねぇだろ」
「ご時世を盾にしないでください、なにも言えなくなる」
ディアムが連れてきたニンゲン、二宮光希。
彼は25歳の社会人で、新卒で入った会社がそれなりにブラックだったが、だんだん感覚が麻痺していき、会社をやめられないまま3年目を迎えた様な普通の男性だった。
そんな彼は、会社帰りの電車のホームでディアムに出会ってしまった。
ディアムの報告書に書いてあったのはこうだ。
ーーー
妖精の国からニンゲン界へ降り立ち二十三日目。
魔法少女適性のあるニンゲンに遭遇。
名は二宮光希。25歳男性。
試験用のディアモン人形を用いて様子を観察する。
その結果、他のニンゲンに被害をもたらさない様素早く対処する判断力が高く見られる。
これは魔法少女に十分なり得ると判断し魔法少女への勧誘を開始する。
ーーー
実際はこう。
平日二十一時の駅のホーム。
いつもより早めに最寄り駅まで帰ってこられたミツキは、人のまばらな駅のホームへ降り立った。
お腹すいた……、ジャンクフードとか食べたいけど、最近お腹すぐ痛くなるんだよな……。
ミツキは大学生の頃と比べてすっかり弱くなった胃腸に悲しい気持ちになる。
静かな駅のホームを出口まで歩いていると、改札に繋がる階段の前に黒いコートを着た男がこちらを向いて立っているのが見えた。
繁華街からも離れた各駅停車しか止まらない駅だ。
そんなに変な人もいないし、事実今まで会ったことも無かったが、階段の上り口のど真ん中でこちらを見ている人にドキリとする。恐怖でだ。
そっと避ける様に端へ寄ったミツキの前で男はどこからか黒い人形を取り出しリボンを解いた。そうすると、ブルブル震え出した人形があっという間に男よりも大きくなって二本足で立ち上がる。
ミツキの後ろにいた女性が「えっ、なに?」と戸惑った様な声を出すのに反応してか、人形がこちらに向かって走り出した。
ミツキだって物凄く怖かったし、意味がわからなかったが、後ろで恐怖に悲鳴をあげている女性が居たものだから、ミツキは咄嗟に人形に体当たりをした。
「い、行ってください!」
「え、え」
「早く!」
「は、はい!」
女性を逃したミツキは体当たりで転がった人形の向こうから、黒のコートの男が近づいてきているのに気づいて後ずさる。
だがそれよりも先に人形が恐ろしい速度でミツキの背後に周り、後ろから羽交締めにして持ち上げた。
人形が自分よりも大きくて足がつかない。
「うわ、この!だ、誰か!」
咄嗟に助けを呼ぼうと大きな声を出したミツキの前に、黒のコートの男が立ち塞がる。
整った顔の男だった。サファイアみたいな瞳がギラギラと光っていて怖い。
「駅員は来ないぞ」
「ひぇ……、なんで……」
持ち上げられたミツキと同じ高さに顔がある。自分より背の高くて怖いお兄さんに詰め寄られている現実に声が出なくなる。
なんでこんな事になったんだ。誰かに恨まれる様なことはしていないのに。
「この状況から逃れるためにはどうしたら良いと思う」
「は、……は?」
「お前はどうやったらここから無事に家に帰れるだろうなァ?」
あ、これ、死ぬじゃん。もうだめだ。俺家に帰れないんだ……
ミツキは泣きそうだった。
日常過ごしていて感じることのないタイプの恐怖。
自分を羽交締めにしている人形よりも、このコートの男が怖すぎる。
すでに一人二人始末してきてるだろこれ。
「これを持て」
「は、はい……」
渡されたのは長い杖だった。ゲームの魔法使いが使うみたいな、持ち手の棒が細くて、先端に宝石みたいなツルッとした水色の石がついてるやつ。
それを羽交締めされたまま震える手で受け取った。
「それを持ったまま『フェアリーチェンジ』って言え」
「へ、」
「何回も言わせるな『フェアリーチェンジ』、ほら、言えよ」
「ふぇ、フェアリーチェンジ……」
そうしてミツキは白と水色を基調としたふわふわミニスカートの魔法少女になったのだ。
ディアムによる見事な恫喝だった。
「ミツキさん泣いてますよ??可哀想すぎるんですよ」
「そういや誰かがミツキに新しい衣装作ってたな、パンツスタイルのやつ」
「ああ、はい。スカートの下にジャージ履いた望まぬ女装男性は見ていて可哀想すぎますからね」
「あれ捨てたから」
「は?」
「スカートの方が早く終わらせたくて火力上がるだろ。余計なことすんなよ」
「鬼ですか?」
ディアムは悪い顔でハッ、と鼻で笑った。
哀れミツキさん。彼以外の二人の魔法少女は夏休みを利用してこちらに渡ってきたが彼だけ会社を辞めこちらに連れてこられている。
哀れすぎて防衛軍が彼に優しく、それに応えようとお人好しのミツキはディアモンとの戦いを頑張ると言う善意のループで逃げられないのもまた哀れだった。
「その点ノアさんは偉いです。連れてきたの17歳の女子高生ですからね」
少女というにはギリギリだが、他二人に比べれば十分に魔法少女である。
ノアは頭上の猫耳をピルッと動かして、褒められ待ちの犬みたいな顔をした。
「はい、俺が今まで見た中でもノゾミさん程素晴らしい魔法少女は他にいません!」
「そうですねー、確かにディアモンの討伐数も桁違いですし戦闘能力も素晴らしい」
ではなにが悪くてここへ呼ばれたのか。
ノアが連れてきたニンゲン、朝比奈希。
彼女は17歳の高校二年生で、朝に弱くいつもギリギリの時間に登校し、友達と宿題やったやってないと話をし、たまに帰りに友達とアイスを買って帰る様な普通の女子高生だった。
そんな彼女はある日の放課後、ノアに出会ってしまった。
ノアの報告書に書いてあったのはこうだ。
ーーー
妖精の国からニンゲン界へ降り立ち十九日目。
魔法少女適性のあるニンゲンに遭遇。
名は朝比奈希。17歳女性。
これ以上ないほどの魔法少女適性を感じ、試験用のディアモン人形を用いて検証を開始。
その結果、試験用ディアモンを見ても全く動じない強靭なメンタルを持っていることが分かった。
これは魔法少女に十分なり得ると判断し魔法少女への勧誘を開始する。
ーーー
実際はこう。
ノゾミは通学路を一人で歩いていた。
部活に入っていないのでまだ明るい時間だが人通りの少ない静かな道だ。
そんないつもと変わらない通学路の先に、この辺りでは珍しいサラサラの金髪の青年が居た。
青年はなぜかこちらを驚いた様な顔で凝視している。
ノゾミはこわ……、と思いながら通り過ぎようとしたが、残念ながら呼び止められてしまった。
「あの、あ、あの!」
「……、……はい」
「しょ、少女、魔法少女になってくれませんか?!」
「……間に合ってまーす」
これはいけない。
絶対に止まってはいけない部類だった。
ノゾミは足を早めて通り過ぎようとしたが、青年はノゾミの腕をとって引き止める。
「ちょ、なに」
「嫌です!俺はあなたに決めたんです!あなたほど魔法少女の才能がある方は他にいません!」
「いやうるさ……、こわ……」
「お願いします!俺たちの世界を救ってください!」
「いやー……、やば……」
「これ、これがディアモンで……」
黒い人形を片手に綺麗な顔で涙を流す金髪の青年にドン引きしたノゾミは、その手を振り払った。そうして無駄に遠回りをして走って家に帰ってその日はチェーンをして寝たのだった。
「昨日希が他校の子イケメン泣かしてるの見たとか聞いたけど、まじ?」
ノゾミは嫌そうな顔をした。
大変な風評被害である。こっちは不審者に絡まれただけだと言うのに。
そんな事してないと否定して、いつも通り授業を受けて昨日のことを忘れそうになって帰ろうとしていたら、校門に昨日のあいつがいた。
金髪のやばいやつ。
そいつは昨日とは打って変わって、ちょっと真面目そうな普通の人みたいな顔で立っていた。
「昨日はすみませんでした」
「いや、もう良いんで、気にしてないんで」
「なのでまずは友達になりにきました!」
「だるいってぇ……」
「よろしくお願いしますノゾミさん!」
キラキラの笑顔だった。
隣の友達が先に懐柔されて一緒に帰った次の日から、なんか毎回一緒に帰ることになってしまった。
そうしてそれが続いて二週間。
ノゾミはついに折れて、赤いリボンのついた金の杖をノアから受け取った。
「なんて言えば良い?」
「っ、フェアリーチェンジです!あっ、ディアモン、ディアモン出します!」
ノアは黒い人形のリボンを解いた。
そうして立ち塞がった巨大なディアモンを前にノゾミは「フェアリーチェンジ」と呟いた。
かくして彼女は赤と白を基調としたふわふわのミニスカートに赤ずきんみたいなフードを被った魔法少女になったのだった。
そして現在。
エリーは一瞬躊躇ってから口を開いた。
「えー……、強すぎます」
「え?」
「信じられないくらい強いんです」
「?」
「なにが悪いみたいな顔してますね、ええ、その疑問はごもっともです」
エリーは先日初めてノゾミを見た。
それはもう凄まじかった。
魔法少女と言うより、戦いの女神とかそう言う類の神々しさすらあった。
妖精たちですらその様子を指を組んで見上げていた。
そうなるとどうなるか。
「ディアモンが跪いて首を垂れて新たな魔王が生まれてます」
「ノゾミさんを魔王だなんて失礼な!あの方は人の上に立つ才能がおありなだけです!ノゾミさんが笑えば空は晴れ渡り花々は美しく咲き乱れ小鳥たちが歌いながら飛びまわる様な素敵な世界が生まれるんです!」
「おいこいつも信者じゃねーか」
ノアはノゾミさんが笑えばどうこう言っているが、当の彼女はダウナー系女子高生だ。大抵ダルそうな顔をしているので笑ったところなどほぼ見たことはない。
彼は幻覚を見ているのだろう。信者とは大抵そうだ。
何はともあれ。
見つけた後、二ヶ月以上かけて説得し連れ帰ってきた魔法少女だ。
そんなお気に入りのニンゲンたちの活躍に満足げな表情をしているオトモ妖精たちを見てエリーはため息を吐いた。
このまま行けば近日中に魔王の討伐も可能なほどの戦力が揃ったのだ。
上層部も満足している様だがこれで本当に良かったのだろうか。エリーは、新しい魔王が生まれるだけなのでは?との頭の中を一瞬過ったが深く考えないことにした。
異世界の人間に託すと決めたのだから、こちらもそれなりの覚悟はしなくては行けない。
新たな問題発生の予感に痛む頭を無視して立ち上がった。
「とりあえず今日はここまでにします。疲れたんで。また後日魔法少女の方々と一緒に三者面談しますのでよろしくお願いします」
ガチャリと扉を開けて退出を促す。
「あー、やっと終わった、帰って寝る」
「ここ売店あります?ノゾミさんがリンゴジュース飲みたいって」
「今度ニンゲン界で言う『らいぶ』とやらをしてみたいのぉ」
「うるせー、良いから仕事戻れ」
とにもかくにもオトモ妖精にはこれからも魔法少女と良い関係を築いてもらうしかないのだ。
おしまい
魔法少女のオトモ取調室 青柳 誓 @Aoyagi_Chika
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます