世界救済の扉は、今、開かれた
藤井めぐる
第1話 運命の出会いは突然に
思い返せば、確かにその日はいつもよりおかしな日だった。
朝、学校に行くまでに鳥の糞が2回も頭の上に落ちてくるし、
下校中に道端の占い師に「お前は救世主だ!!」と指をさされた。
(中二病だと思われたくないので知らないフリをした。)
そういうおかしなことは、劇的な何かが起こる予兆なのかもしれない。
----
学校が終わり、橘春樹が二階の自室へ帰ると、カラスが我が物顔で居座っていた。
普通のカラスの4倍ほど大きくて、黒々としていた。
それでいて、目はまんまるでかわいらしく、クリクリした瞳でこちらを見つめていた。
「ハルキ!おかえりなさい!!!」
カラスは嬉しくて仕方がないというようにハルキを出迎える。
そんなカラスの様子に、ハルキは、ただただ圧倒され、
肩に掛けていたバックを思わず床に落とし、後ずさりする。
「カ、カラス!!し、しゃべるカラス!」
「そんなに驚かないでよ!なにも悪いことはしないからさ、今、家には僕たち以外誰もいないし、ゆっくり話そう。」
圧倒されて動けないでいるハルキを気遣ってなのか、
おいでよ!!といいながらカラスはぴょんぴょんと跳ねた。
カラスが跳ねる旅に床の埃が舞い太陽に照らされてキラキラと光る。
「ハルキ、とりあえず座ってください。話し合えばわかります。われわれは、高い知能を持った人間…。ア、僕はカラスか!」
わははは、とカラスは笑った。
カラスは口の中まで黒かった。
そんなカラスの様子をただ見つめることしかできなかった。
やはり、自らしゃべって、冗談を言うカラスは受け入れられなかった。
普通に考えておかしい。
これは何のいたずらなのだろうか?それとも夢なのか?
帰ったら、しゃべるカラスが自分の部屋にいるのだ。
しかも普通のカラスの4倍も大きい、恐ろしい幻覚だ。
おそらく新手の精神病になったに違いない。
「ハルキ、ごめんよ。本当は事前に連絡をするべきだったんだ。でも、どうしても急ぎの用事で…」
「用事??カラスが???俺に???カラスの恩返し??カラスを助けた覚えはない。」
「ちがうそんなしょーもないことじゃない!!」
カラスは今までにないくらい大きな声を出した。恐ろしい剣幕に思わず目を見開く。
そして、しばらくの沈黙が続いた後、カラスは口を開いた。
「とぉーっても重要なことなんだ。ハルキには世界を救ってほしい」
世界救済の扉は、今、開かれた 藤井めぐる @megu1706
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。世界救済の扉は、今、開かれたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます