真の聖女は俺だっていうのわかってないみたいだから黙ってよう

あんこくじだい

第1話 異世界転生

「ふんふーん、あっ……」


 あっ、不意に前世の記憶を思い出した。俺の前世は日本人の氷河期男性。現在の俺は農家の娘で名前はシャーリーン十五歳。この世界はゲームの世界で俺はこの先聖女として見出される女だ。


「聖女なんてかったりぃな……。黙っておこう」


 俺はじゃぶじゃぶと洗濯物を洗っている。俺は川で洗濯をしていたところだったのだ。


「シャーリーン、何?その聖女って」


 一緒に洗濯していたエイミーが聞いてきた。しまった。独り言の声がでかすぎたぜ。


「ううん、次の聖女様ってどんな人なのかなって」


 俺はなんとか誤魔化した。


「次の聖女様かぁ……。見つかったら大々的に国が発表するんでしょ?アタシはそんなの嫌だなぁ。恥ずかしいじゃない」

「エイミーは聖女になるの嫌なの?」

「嫌よ。だって自由がなくなるっていうじゃない。好きな裁縫ができなくなっちゃうわ。王家に匿われて毎日奇跡を行うらしいわよ」


 エイミー詳しいな。たぶんその通りだ。俺は聖女だけど、そんなところに行きたくないから黙っておくことに決めた。


「奇跡かぁ。私に洗濯が一瞬で終わる奇跡でも起きないかなぁ」

「あはは。そんな奇跡だったら聖女じゃないわね。せいぜい魔女ね」


 魔女か。それも嫌だなぁ。疫病の原因として火炙りにされるんだろ?奇跡は行わないことに決めた。


「これで良しっと。それじゃシャーリーン、またね」

「またね、エイミー」


 俺たちは洗濯を終えて自分たちの家に帰った。

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