時をかける恋人
春馬
プロローグ
図書館の奥、薄暗い書架の間を歩く紗希は、ふと埃をかぶった一冊の本に目を奪われた。古びた表紙には、金色で小さく「時をかける恋人」と刻まれている。
「こんな本、見たことない……」
手に取った瞬間、紗希の視界が揺らぎ、周囲の空気が冷たくざわめく。息を呑み、指先に伝わる古紙の感触に心臓が高鳴った。
そして――目を開けた瞬間、そこは見覚えのある校舎だった。
紗希の頭の中で、驚きと混乱が渦を巻く。
「ここ、……私の高校?」
廊下には制服姿の学生たちが行き交い、聞き慣れたベルの音が鳴り響く。しかし、時代は今より十年前。紗希の胸は、喜びと戸惑いの感情でいっぱいだった。
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