光のカケラーー冒険者だったワタシが光の女神に生まれ変わった件

月杜円香

第1話  女神、人間を魔族に転生させる!

『女神~~、本当にあの男の子をに転生させちゃったのニャ~~?』


神獣のラルカは、女神イグニスのもとに急いで駆けつけた。真っ白な長毛種のネコ型神獣である


ここは、天界。すべてが銀色に輝く不思議な空間であった。

その中で、女神はラルカを見ると、麗しい顔で微笑んで鈴が鳴るような声で言った。


『種族の保存のためだよ。ラルカ、今、地上に送ったところ』


『転生者を地上に蹴り落すのは、ボクの役目なのにニャ~』


ラルカは不満そうである。


『あの子は、地球世界の普通の人間ニャ!! 親の愛情には飢えてたけど……ニャア……』


各世界に通じるこの空間は、特別な場所で光の神、イリアス・ロイルが分身イグニスのために作ったのである。


そう……女神もかつては人間だった。

それも男の冒険者だった。

相棒に、夜這いされそうになって、ビックリして昇天してしまったのだ。


『仕方ないニャ……その日はアルデバラン王国の王都に巨大な隕石が落ちるという予言があったニャ。それで多くの人が神殿で祈りを捧げていたニャ。光の神、イリアス様の力が一番強くなった日でもあるニャ。その時の光のに女神の魂が吸い込まれたニャ』


『だから、どうして女になる必要があったのさ!! ワタシは、男だったのに』


『アルデバランの神殿に、イリアス様が姿を現して、「アルデバランの危機は去った。これより神がこの地を守るだろう」と仰せになったからだけど……ニャ』


それは無理な話だった。女神は美しすぎた。金色の神と深い青い瞳、彫が深くて整った顔立ち。八頭身の完璧なスタイル。おまけに、魔法の力も超一流だった。

未熟な女神は、人が喜ぶならと惜しげもなく力を使った。


しかしそれが、各国の妬みとなり、女神をめぐって争いが起きるようになった。

自分の身は自分で守れたが、人と人の争いは見たくなかった。イリアスも自分の分身であるイグニスの辛さが分かったので、この空間を作ったのだった。


そんな訳で、こんな任務に就いてる女神だが、スカウトしてきた人物に転生先や、特典を自由に与えることの出来る権限をもらっていた。


ラルカは、遠い目をして言った。


『最初のは、精霊にしてすぐに死なせちゃったニャ……』


『すぐに本人の希望通り、人間に戻してあげたってば~』


『竜にした子もいたニャ?』


ラルカは、大きな欠伸をする。彼の白い毛並みは銀色の空間の中でも映えて見える。


『交通事故で、呆気なく死んだからよ。頑丈な身体が欲しいって言うから』


『天変地異起こして、大陸ごと壊れそうだったんだけど?』


『いろいろあったね』


女神は、額に汗を垂らしてニッコリ笑う。

ラルカにいろいろ痛い事を言われて胸がズキンズキンしてるようだ。


『……で、さっきの件だけどニャ、なんで、魔族なんかに転生させたニャ?』


『ディン族が、残り2000匹くらいなのですって』


ラルカはポカ~~ンとした。

魔族は、光の神イリアスの世界では闇の眷族とされていて、人間にとっては天敵だったはずなのだ。滅びれば、人間は魔族の恐怖におびえなくなるのに……??

イグニス女神は、積極的に魔族に手を差し出すつもりか? ラルカは頭が痛くなってきた。


『だからって、魔族を増やさなくても良くニャいか?』


『大丈夫よ、人間とのハーフにしたから』


女神は、この上なく上品な笑顔で言い放った。




(完)






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