第2話

 竹之内は杉浦の居どころを突き止めたが取材はNGと断られた。途方にくれつつも諦めきれなかった。

 詳しく当時の事を知りたいと杉浦をマークしていたら……杉浦の友人、金村という人物が変わりに話をしてくれる事に。


 早速近くの喫茶店でコーヒーを奢りながら、話を聞かせてもらうことになった。


「まず、天王寺が高校時代スターだったの知ってますよね?」


 金村の言葉に竹之内は頷く。


「もちろんですよ! 毎年甲子園出場、そして、優勝をかっさらってくんですもん。あの世代は甲子園優勝諦めろってレベルだったでしょうね」

「同じ地区だったオレ達なんて、そのレベルの嘆きじゃねえですよ」

「あ……」


 同じ地区からは一つの高校しか甲子園には行けない。その一つの枠を毎年、天王寺率いる御門ノ大附属が持っていく。同地区の高校で、天王寺と同年代の高校生は、甲子園の夢を見ることができないのだ。


 しかも天王寺の同期は何人もプロになった黄金世代。歴代最強の御門ノ大附属。


「そんな最強世代、天王寺が三年の頃の一番強い時期に……杉浦さん率いる虹色学園高校が破ったわけですもんね」

「率いるって、キャプテンはオレでしたけどね」

「え!? あ、そうでしたかすいません!」

「まあ、四番でエースなのは杉浦でしたし、しょうがないですけどね」


 虹色学園高校。そこはただの進学校。部活に力をいれてるような高校ではない。

 しかも当時は、部員もギリギリ。万年一回戦負けの弱小。そして投手は杉浦ただ一人だったという。


「はあ!? そんな弱小高校が当時、いや、歴代でも最強と言われる御門ノを倒したんですか!?」

「そりゃ伝説って言われますよね。今でも伝説の虹色学園野球部って言われてますもん」


 それならもう少し話題になってもいいんじゃないかと思った。

 竹之内が知ってる情報は、聞いたことない高校が御門ノを倒したってことくらい。

 当時竹之内は高校野球に疎かった。まだ小学生だったから。


「ま、完全にヒールでしたもんオレ達。スーパースター天王寺の晴れ舞台を邪魔したクソ野球部って。嫌がらせの手紙とか電話とか学校に来ましたから」

「ひ、酷いっすねそれ……」

「勝ったことに後悔はないですけどねえ。天王寺がプロで活躍すればするほど……自慢になりますし」


 今や世界一のプロ野球選手といっても過言ではない男に、高校時代の話とはいえ土をつけた……確かに一生物の自慢になるだろう。


「特に、杉浦はね。あいつはあの時、全てを賭けてたから」

「天王寺選手に勝つことに?」

「ええ。弟との約束だったから」

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