第1話





 泣いている男が目の前にいる。


なんで泣いてんだ?

そんでもって誰だ、お前。


 顔をしっかり見る前に、後ろを向いてしまった。


あうーああんた、誰だ


あれ?

上手く声が出ない。


 男が走り出した。と思ったら、凄い速さで見えなくなった。


なんだありゃ。


あえー?あれー?


仰向けで寝転がっているらしい。

なにかに包まれている。

布?

身動きが取れない。

どうなっているんだ、一体。


 左にはデカイ扉が。


、、、デカすぎじゃね?


 とその時、ガチャンと鍵の開く音と共に、ギィと扉が開いた。


「──────────?──、──?」


 40代くらい?の女性が、扉の奥からそっと顔を出す。これまたデカイ。巨人だ。


 目が合う。


「──────。《──》────。」


 巨人はオレをヒョイと拾い上げ、笑いかけて来た。


なんなんだ一体。


「──────。─────。───────────。─?」


???

なんて言ってる?

聞き取れない。

わけが分からない。


「──?───────。───────────、───。────。」


 こっちの混乱もお構い無しに、巨人は喋り続けている。

 喋りながら、オレを抱えている逆の手で手紙?を開いた。


器用だ。


 巨人の目が左右に動くにつれ、どんどん巨人の顔が険しくなっていく。


 扉を閉めた。ガチャン。


「──。」


 ぼぅと手紙が燃えた。


、、、は?

何した?今


「────────。────────────────。」


 めちゃくちゃ怖い顔で何やらブツブツ言っている。


 手紙が燃え尽きた。


 途端に、巨人の顔が笑顔に変わり、こちらに向く。


「───────。───────────────。」


 再び喋りかけてくる。


だから分かんないんだってば。


「あうー」


 変な声しか出ない。


「────?───────。───────。」


「───。」


 巨人が何か


 巨人の手から、がこちらに流れ込んでくる。

 いや、こちらのを動かしているのか?


「────、───。」


すごく、変な感じだ。

は一体なんなんだ。

、、、?

なんだ、なんか、眠い?


 急激に意識が遠のいていく。巨人がオレを軽く揺らしながらどこかへ向かう。


 そして、オレをどこかにそっと置いた。



 それが、最後の記憶だった。







いや、これは



か。

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