クリスマス当日。


終業式を終えたら、家に帰って宝人くんたちをお出迎えする予定になっている。


一人で廊下を歩いていると「山田さん」と呼び止める声が聞こえた。振り返れば、宝人くんのお友達の人たち。

阿部くんと宝人くんの姿はなく、みんなニヤニヤと意味深に笑っている。


された相手は不快に感じるやつ。


私にとっては蔑むその感じはご褒美だけどね! ……もっとくれ。


「今日はクリスマスだね。宝人と過ごすんでしょ?」

「はい!」


いいね、いいね、その視線。

バカにしてるのが透けて見える。


「うまくいってるんだね」

「そう見えますか~」


興奮しすぎて頬が緩んじゃう。

そんな私の様子を鼻で笑われたけど、だからご褒美なんだって。


「もし、宝人が君に隠してあることがあったらどうする?」と突拍子もなく問われる。

これは私を試しているってことね。


「それでも、宝人くんとずっと一緒にいます!」


声高らかに私は宣言をした。

目の前の男子たちは呆気に取られている。中には可哀想な目を向けてくる人までいた。


「あっ」と誰かが言った。

その視線を辿って振り向くと、涙目になった男の子がいた。


「……山田さん」


宝人くんは顔を歪ませていた。


「君がそこまで思ってくれていたなんて……俺は……」


今にも零れそうな涙を耐え、唇を噛んでいる。

その様子を茶化すことが出来る人間などおらず、固唾を呑んで見守るしかなくなっていた。


「……もう逃げるのはやめる」


宝人くんは袖で涙を拭い、仲間たちのほうを見てから私の名前を呼んだ。


「山田涼子さん」

「……はい」

「俺、ちゃんと責任取るから。君を傷付けたりしない」


真摯な眼差しに、思わず胸の奥に衝撃が走った。

銃で撃たれたような気分。


「ええええ!?」と周りが叫ぶ。

「ちょっと、宝人!?」「話が違う…、」「そこまでしろなんて」などと、ごちゃごちゃ言い始めてるけど、知ったことか!


宝人くんがこう言ってくれてるんだから黙っとけ!


私は笑顔を作り、お友達に告げる。


「皆さんも、末永く私たちのことを見守ってくださいね」


感謝の気持が溢れてしまう。

私の様子にみんな口を閉じた。いい子。

宝人くんに罰ゲームを提案してくれてありがとう。


――このゲームで私の幸せは勝ち確した。

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