山田家の夕飯の場で、私は弟たちに話しかける。


「ねえねえねえねえ!」の声に、揚げたての唐揚げに夢中だった全員が箸を止めた。


「……姉ちゃん、落ち着いて。テンションが怖い」と四緒の頬が引きつっている。


「え~、無理~!」


二歌は既に逃げ腰で「……こっちが無理だわ。え? 何? 今度はどんなトラブル連れてきた?」と問う。物分かりがいい。


「あのね、今度彼氏を連れてきてもいいかな」


にこにこと笑えば、彼氏の存在を知らない三矢と四緒が「「彼氏!?」」とハモった。


「今日、一緒に帰ってたらね。宝人くんは何か言いたげ・・・・・・だったから、お家に誘うことにしたんだ!」


ずーっと話の機会を窺っていたのは可愛かった。


胃を抑えて辛そうで……そんなに追い詰められてるのが羨まし……可哀想でもあったけど。

こっちから話のチャンスは振らなかった。


「次の日曜日に来てもらうことになったから。みんな、お行儀良くしてよね!」

「「「……」」」


弟たちは黙り込んでいるので、了承してくれたんだと思う。


日曜日が楽しみだな!



*   *   *



待ちに待った日曜日。

両親は地方に行っているので、家にいるのは弟たちのみ。


「ちょっと! 宝人くんが来るっていうのに、なんでみんなジャージなの!?」


ダボダボのセットアップの3人は思い思いにソファーで寛いでいる。

掃除機をかけたり、ご飯の準備をしている私は忙しいっていうのに!


「えー、休日だもん。気合入れてるほうが緊張しちゃうんじゃない?」と、何をするでもなくだらけている三矢が言う。……一理ある。


「宝人さんはゲームって好きかな? 僕が持ってるゲームやってくれるかな?」中学一年生の四緒は遊び相手が来ると思っている。


「姉さんに見合う男か見極めてやる」腕を組み、気合満々なのは二歌。


「みんな、ちゃんとご挨拶して、笑顔でお出迎えするだよ?」


「「「はーい」」」


いいお返事!

宝人くんと仲良くなれたらいいね。

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