鉄錆のガレア 〜錆びた教会と腐肉の巡礼〜
火之元 ノヒト
第一章 繋がれた獣の時代
第一節 闘技大会
第0話 鉄とフェロモンの階級社会
1.世界の理:ABOという名の身分制度
この世界は、生まれ持った第二の性によって運命が決定づけられる、絶対的な階級社会である。
【支配者階級:オメガ(Ω)】
全人口のわずか数%。稀少にして至高の存在。
彼らは強力な誘惑フェロモンと、高い知能、そして「アルファを強制的に跪かせる」生物学的優位性を持つ。王族や貴族、高位聖職者はすべてオメガによって占められ、彼らは豪奢な宮殿で、アルファをペットや番犬として飼い慣らしている。
【市民階級:ベータ(β)】
全人口の約8割。フェロモンの影響を受けにくい凡人。
彼らは官僚、兵士、商人として社会システムを維持する歯車である。オメガに忠誠を誓い、アルファを管理・監視する実務を担う。
【奴隷階級:アルファ(α)】
最強の肉体と闘争本能を持つが、それ故に危険生物として鎖に繋がれた哀しき家畜。
彼らはオメガのフェロモンを嗅ぐと理性を失い、発情してしまうという致命的な弱点を持つ。そのため、社会の最底辺に置かれ、重労働や戦争の道具、あるいは見世物として消費される。
2.絶対の掟:貞操帯
アルファが人間社会で生きるために義務付けられた、唯一絶対の法律。
それが、貞操帯の常時着用である。
強靭な肉体を持つアルファが反乱を起こさないのは、彼らの股間が常に鋼鉄の枷で封印されているからだ。
発情しても処理することは許されず、強制的な禁欲によって精神を去勢される。
この世界において、アルファの射精はオメガの許可なくしては許されない特権であり、鍵を持たない彼らは、生殺しの地獄を生きている。
3.狂王と闘技大会
現在の王都を支配するのは、狂王と呼ばれるサディスティックなオメガの独裁者である。
彼はアルファたちが欲望に喘ぎ、苦悶する姿を見ることに無上の喜びを感じる異常者だった。
そんな狂王が主催する、国一番の娯楽イベント。
それが、闘技大会である。
ルール:
参加者は全員、特殊な拘束機能付き貞操帯を着用したアルファたち。
彼らには強力な催淫剤が投与され、極限の発情状態に置かれる。
その上で、互いに殺し合いを演じさせるのだ。
勝利条件:
最後まで立っていた者。
あるいは、相手の貞操帯を破壊した者。
優勝賞品:
何でも一つ願いを叶えるという、古代遺物の使用権。
この狂った祝祭のリングに、今、一人の規格外が立とうとしていた。
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