第2話 追っかけ

 はぁ………?

 なんで、なんでこんなに、心臓が……

 それに私には、楓が……そうだ! 楓……!

 「あの!

  この学校に古田 楓(ふるた かえで)ってい

  ますよね!」

 その瞬間、彼の眉がピクッと反応する。

 さっきも見た、鋭い眼。

 「お前、古田の追っかけか?」

 ギロリと睨まれて、ドクンと胸がモヤモヤし始め る。

 追っかけって、失礼な……。

 「あいつはやめと…」

 「私は楓の彼女ですよ?」  

 その瞬間、この空間が空気がなくなるように凍りつく。   

 「は?」

 「は?

  じゃないですよ!」

 私は楓と同じ学校に入るために頑張ったのに…。

 彼はこめかみを抑えて、「もういい」と発してからまた進み始めた。

 「あっ、待って!」

 どうしたんだろう。

 こめかみを押さえたまま進む彼を見つめながら、私は楓の事を考え始めた。   

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