第2話 修行
朝食後は滝行に連れて行ってもらったが雪解け水なのか水が冷たすぎる、10秒も我慢出来ずに俺は水から上がる。
セイとモモは20ⅿ程上から落ちて来る滝を頭から受けながら何かを繰り返し唱えている。
『オン ギャクギャク エンノウバソク オランキャ ソワカ』・・・
セイはギャアギャいっているようだが俺にはしっかり言葉として聞こえてくる。
俺もセイとモモの真似をして滝のしぶきがちょっとかかるところで真言を繰り返し唱える。
『オン ギャクギャク エンノウバソク オランキャ ソワカ』
昼からの鍛錬はセイが肉体強化という事で朝のランニングコースを逆立で走って?行った。
モモは一人で鍛錬とかで山の中へ消えて行った。俺も訓練とおもいモモの後を追いかけようとすると
「シンジお主は術は未だ使えんだろうがセイの後を追え、足で走っていいからセイに負けるなよ」
オズノ様に術の鍛錬はまだ早いと叱られ走り出したが、逆立ちのセイにも追い付けなかった。
「お~いセイ何処まで行ったんだ、俺はセイがが居なくて寂しいぞ」
冗談で叫んでみると、間もなく猛スピードで逆立ち姿のセイが俺の所へ来てくれた。
「ギャウゲウゴー」(安心しろ俺はシンジと一緒にいる)
純粋なセイに俺は自己嫌悪に陥る。
その後もセイは、逆立ちしながら猛スピードでジグザグ走行したり逆戻りしたりして俺に合わせてくれる。
断崖の崖では逆立ちのくせに俺の数倍のスピードで登り俺が昇り切る迄5往復しながら俺の近くを通るときは必ず励ましてくれる。
なんていい奴なんだセイ、前世では俺の見た目が悪いせいか、性格に問題有ったせいなのか誰にも優しくされた記憶がない。
なのにセイ、お前は俺に優しさをくれる。
見てくれは俺と同じに悪いのに性格は聖人のようだ。
山を走るのに肉体的限界が近づいている俺にはセイの優しさが何処までも身体に染みて来る。
セイが俺の隣に来て何か叫んでいる。
「ギャギゴゲググガー」(見た目も俺の方がイケてるぞ)
「前言撤回、セイお前は性格も悪い」
セイは逆立ちのまま俺をみてプッと軽く噴き出してにやりと笑って去って行った。
夜は昼の疲れでぐっすり眠ることなく3人それぞれ大岩の上で座禅を組んでいる。
座禅を組み瞑想する事で己を見つめチャクラが開くようにする鍛錬。
俺は
セイとモモは現在第3のチャクラを開くべく瞑想をしているようだ。俺には今の所 瞑想=睡眠 となっていてチャクラのチャの字も感じることが出来ない。
感じるのは堅い岩の上で座禅を組む尻の痛さだけだ。
『オン ギャクギャク エンノウバソク オランキャ ソワカ』
**3年後**
朝の鍛錬ランニングが始めたころの倍の距離になった。
今では25里およそ100㎞を2時間で帰って来れるが未だセイの逆立ちに負ける。
けど自分では合格点をあげたい、進歩しているのが自分で感じるのが嬉しい。
オズノ様に言わせると30分で帰って来て一人前だと言うけど、それってWRCのラリーカーでも無理な速さだよね。
滝行は二人と同じように滝に打たれながら真言を唱えているが、特に変化を感じない。
それでも、最近俺の魂力が3年前に比べて随分強くなって来ている、鍛錬を頑張っている結果だとオズノ様が認めて褒めてくれたのだ。
嬉しい、そう俺は前世の俺ではない新しく強く生まれ変わるのだ。
ある日、小屋に入ると誰も居ない。見ると1冊の本がテーブルに上がっていた。
俺にはその字が読むことが出来なかったが。
タイトル =出来の悪い人間を上手に育てる方法= (日本人編:うそでもいいから認めて褒めてあげる事)
術の鍛錬も成果が有った、身体強化が出来るようになった。そのおかげで朝の鍛錬時間が短くなり他の鍛錬にも時間的に余裕がやっと出来てきたところだ。
これも第1チャクラが開いて身体強化が使えるようになったからで、それぞれの鍛錬が全て繋がっている事に最近やっと気が付いた。
**水中修行2年**
セイ、モモ、俺の3人は滝壷の底で座禅を組んでいる。
オズノ様は水の中でも地上と同じように呼吸が出来るようになって半人前、更に水を自由に操れるようになって一人前だという。
魚のように
というのも、俺が溺れるたびにセイが人工呼吸をマウスtooマウスでしてくれていたのを知ったからだ。
「セイ毎回助けてくれてありがとう。 毎回だと悪いからモモに変わって貰ってもいいぞ」
「ガガギャ」(わかった)
水中で又意識が飛ぶ苦しい頼むぞモモ。
溺れた俺が目を開けると目の前にはセイの顔でなくオズノ様の顔があった。
その日以来滝壷での鍛錬は劇的な成果を上げ、今では水中の酸素を皮膚から吸収する事が出来るようになった。
皮膚呼吸が出来るようになれば魔力を全身で吸収できるようになるらしい。
俺とセイは水中での滞在は自由に動き回れたが、モモの様に水を自由に操る事は出来なかった。
『オン ソラソ バティエイ ソワカ』
弁財天の加護を授かったモモは滝を逆流させたり水で岩を切ったりして凄くうらやましい。
**土中修行2年**
「3人ともこの穴の中に入るのじゃ」
オズノ様は深さが30ⅿはありそうな深い穴を三つ堀って俺たちに入れという。
「土中から帰って来るだけの修行じゃ、出来るなら土中を自由に動きまわってみろ」
「ハイ」
俺たち3人は返事をして穴に飛び込んだ。
深い穴の中に入ると直ぐにオズノ様によって生き埋めにされた。
土砂の圧力でピクリとも身体が動かせない。
圧倒的な恐怖が俺を襲う、土砂の圧力で今にも押しつぶされそうだ。
かなりヤバイ余裕がない、呼吸をしようにも口が動かせない。
皮膚呼吸、皮膚が土砂の圧力に負けてうまくできないが、さっきよりましだ。
身体強化を目いっぱいしたらほんの少し体が動いた、身体を震わせるように動かし、身体の周りに5㎝程の空間が出来たが、その空間も直ぐに崩れ地中の中で再度身動きが出来なくなった俺は意識を無くした。
気が付くと地上でセイとモモがなんて事はなく、身動き一つ取れない土の中にいた。
とりあえず皮膚呼吸のおかげで窒息死は避ける事が出来たがこの後はどうする俺。
土の中といったらモグラだろう、モグラのように掘って進むか? 無理、出来ない。
何時間か何日か時間感覚が無いのでわからないが、今やってる方法が正解だろう。
魔力と魂力を土中に流して土砂に水のような流れを作り、その流れに合わせて動くようにすると動くことが出来た。
魔力操作の応用と気が付いてからは効率も上がり進む速度も速くなったが、それでも芋虫程度のスピードだ。
地上に出るとオズノ様がいつもの煮豆を差し出して、
「時間をかけ過ぎじゃシンジ、だがよく
腹が減ったろう喰え、儂はシンジが日々成長する姿を見るとほんとに嬉しぞ」
「オズノ様、俺はもっとやれます。もう一度地中に埋めてください、次はもっと上手にやれそうです」
「そうかあっぱれな心掛けじゃ、では行ってまいれ」
やる気に満ちた俺は穴の中へ元気に落ちて行った。
その時のオズノ様の
(日本人編)第2巻が入っているのを知らなかった。
「セイは身動きの取れない土の中からどうやって地上に上がって来たの」
「ギャグギガゲゲッゴ」(身体強化を最大にして歩いて出て来た)
詳しくセイに聞くと、水泳のクロールのように両手を回し地中を掘り進んだと簡単に言うが、どれだけの力が有ればそんな事が出来るの。
モモは修行を始めると数週間で水と同じように土砂を自由に操り、オズノ様に許されて俺達とは違う鍛錬をするようになっていた。
土中修行を初めて2年、俺は地中の中でも歩いて進めるようになっていた。
セイに至っては地中を走り回り、更に土砂を製錬して金属を取り出させるようになっていて、金剛力士の加護を授かった。
『ナマサマンダバ サラナンケイアビモキャ マカハラセンダキャナヤキンジラヤ サマセ サマセ マナサンマラ ソワカ』
前世だけでなくここでも俺は落ちこぼれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます