2025年自選10首

吉田隼人

2025年自選10首

ひとは木を伐ることができ火はいのちの比喩にして且ついのちを持たぬ(「nunc aeternum」『現代短歌パスポート 来世イグアナ号』書肆侃侃房)

叙情歌はみな死者のため 雪華咲くこの日をとどめおかむがために(「appropriated apocalypse」角川『短歌』2025年1月号)

かのひとも見ただらう雪 「ある」といふ動詞と「ない」といふ形容詞(「flowering inferno」『短歌研究』2025年5+6月号)

天あふぐ馬となりつつ眼にうつるすべては白のひとときありき(「アスピリン・エイジ」カクヨム短歌賞10首連作部門応募作)

誠実に、静謐に書く 書くことが裏切りでしかない雪の夜に(「en lisant La chambre claire」『かばん』2025年8月号)

死をたまへ 霜月はじめふるさとにふる雪のごと酷薄な死を(「via negativa」北海学園大学短歌会機関誌『華と硝烟』3号)

黒点に擬せられ鴉 いづれ死ぬあはれなとりに過ぎぬがゆゑの(「I'll be none」秋の王座と短歌賞応募作)

子をなすは悪とこそ言へ みあぐれば白き腹して飛び去る燕(「l'angoisse ontologique」『文藝春秋』2025年9月号)

われふかき鬱の淵よりものを書く あをきほのほを手渡さむため(「"Frozen Fire" and Other Short Stories」『文學界』2025年9月号)

睡眠の意味の部分に火を放ち燃えおつるまで夢も見ざりき(「hal(lucin)ation」河出書房新社『スピン/spin』14号)

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